建設業許可(とび・土工工事業/解体工事業)と解体工事業登録の違いを解説!
解体工事業登録と建設業許可は似ていても別制度で、請負金額や営業範囲、要件に大きな違いがあります。とび・土工工事業との関係も含め、どちらを選ぶべきか判断のポイントを解説しています。

建設業許可(とび・土工工事業/解体工事業)と解体工事業登録の違いを解説!

1|両制度の基本的な位置づけ

根拠法の違い:

 解体工事業登録建設リサイクル法第21条に基づく制度であり、平成12年の同法制定により創設されました。一方、建設業許可建設業法第3条に基づく制度で、昭和24年の建設業法制定以来続く、建設業全般を規律する基本的な許可制度です。両制度は根拠法が異なるため、目的・要件・運用も大きく異なります。


制度の目的:

 解体工事業登録は、分別解体および特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進を目的とした制度で、解体工事に伴う建設廃棄物の適正処理を確保するための仕組みです。これに対し建設業許可は、建設業の経営の適正化と建設工事の適正な施工を目的とし、経営力・技術力・誠実性などを総合的に審査する制度となっています。

2|解体工事に関する建設業許可業種の整理

平成28年改正の背景:

 平成28年6月1日施行の建設業法改正により、それまで「とび・土工・コンクリート工事業」の中で扱われていた解体工事が、独立した「解体工事業」として新設されました。これは、解体工事の専門性と社会的重要性が高まったことを背景とする制度改正です。


経過措置の終了:

 改正前に「とび・土工・コンクリート工事業」の許可を有していた事業者については、令和元年(2019年)5月31日まで、引き続き解体工事を請け負うことができる経過措置が設けられていました。しかし、経過措置は既に終了しているため、現在は500万円以上の解体工事を請け負うには「解体工事業」の許可が必須となっています。「とび・土工・コンクリート工事業」の許可のみでは、解体工事を請け負うことはできません。

時期 とび・土工・コンクリート工事業の許可で解体工事可否
平成28年5月31日まで  可能(改正前の取扱い)
平成28年6月1日~令和元年5月31日  経過措置により可能
令和元年6月1日以降  不可(解体工事業の許可が必要)


3|請負金額による使い分け

500万円という基準:

 両制度の使い分けにおいて最も重要な基準が、請負金額500万円(税込)です。500万円未満の解体工事のみを請け負う場合は解体工事業登録で足り、500万円以上の解体工事を請け負う場合は建設業許可(解体工事業)が必要となります。


請負金額別の必要手続き:

 請負金額に応じて必要となる手続きを整理すると、次のとおりです。

請負金額(税込) 必要な手続き 根拠法
500万円未満  解体工事業登録 建設リサイクル法
500万円以上  建設業許可(解体工事業) 建設業法

 なお、建設業許可土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)を有する場合は、500万円未満の解体工事についても解体工事業登録は不要となります。

4|営業可能な地域的範囲

解体工事業登録の地域的制限:

 解体工事業登録は、解体工事を実際に施工する都道府県ごとに登録が必要となります。例えば、鹿児島県に営業所を置く事業者が宮崎県と熊本県で工事を行う場合、3県すべてで登録が必要です。


建設業許可の営業範囲:

 これに対し建設業許可は、知事許可であっても許可を受けた都道府県以外で建設工事を施工することが可能です。営業所を複数の都道府県に設ける場合は大臣許可となり、全国で営業所を構えられます。広域で事業展開する場合、登録制度は手続きの煩雑さが顕著となります。

項目 解体工事業登録 建設業許可
登録・許可の単位  都道府県ごと 知事許可または大臣許可
他県での工事施工  都道府県ごとに登録 1つの許可で全国施工可
複数県に営業所  各県で登録 大臣許可で全国対応可

5|要件の違い

解体工事業登録の要件:

 解体工事業登録の主な要件は、技術管理者の設置と欠格要件への非該当です。技術管理者には、土木施工管理技士などの国家資格保有者または所定の実務経験(指定学科の大学卒業で2年以上、高校卒業で4年以上、その他8年以上)を有する者が選任可能です。


建設業許可の要件:

 建設業許可の要件は登録より格段に厳格で、経営業務管理責任者(または常勤役員等)の設置、専任技術者の設置、財産的基礎(自己資本500万円以上等)、誠実性、欠格要件への非該当など、複数の要件を総合的に満たす必要があります。

要件項目 解体工事業登録 建設業許可(解体工事業)
技術者要件  技術管理者(資格または実務経験) 専任技術者(より厳格な資格・経験)
経営者要件  なし 経営業務管理責任者等
財産的要件  なし 自己資本500万円以上等
欠格要件  あり(建設リサイクル法第24条 あり(建設業法第8条

6|申請手続きと費用

申請窓口と処理期間:

 解体工事業登録の申請窓口は各都道府県の担当部署であり、標準処理期間は30日から45日程度です。建設業許可(知事許可)は都道府県の建設業担当部署、大臣許可は地方整備局となり、処理期間は知事許可で30日から90日程度、大臣許可で90日から120日程度を要します。


法定費用の比較:

 両制度の法定費用にも大きな差があります。一般的な目安は次のとおりです。

制度 新規申請手数料 更新手数料
解体工事業登録  33,000円程度(都道府県により異なる) 26,000円程度
建設業許可(知事許可・新規) 90,000円(収入証紙) 50,000円
建設業許可(大臣許可・新規) 150,000円(登録免許税) 50,000円

 このほか、行政書士に依頼する場合の報酬や添付書類の取得費用などが別途発生します。

7|有効期間と更新

両制度共通の5年更新:

 両制度とも有効期間は5年で共通しています。引き続き事業を営む場合は、有効期間満了前に更新申請を行う必要があります。解体工事業登録は満了日の30日前まで、建設業許可は満了日の3か月前から30日前までが申請期限の目安です。


変更時の届出義務:

 商号、所在地、役員、技術者などに変更があった場合、両制度とも変更届出が必要です。届出を怠った場合、いずれも罰則の対象となります。なお、建設業許可では決算後4か月以内の決算変更届(事業年度終了届)の提出も毎年義務付けられている点が、登録制度との大きな違いです。


8|社会的信用と受注機会の違い

取引先からの評価:

 建設業許可は要件が厳格である分、金融機関や元請業者からの信用度が高く、取引機会の拡大につながりやすい特徴があります。特に公共工事への参入(経営事項審査の前提として建設業許可が必要)や、大手ゼネコンからの下請受注においては、建設業許可が事実上の前提条件となっているケースも少なくありません。


事業拡大の可能性:

 解体工事業登録は要件が緩やかで取得しやすい反面、500万円以上の工事は受注できないため、事業拡大の上限が制度上設定されていることになります。将来的な事業成長を見据える場合は、当初から建設業許可の取得を視野に入れることが望ましいです。


9|どちらを選ぶべきか

事業規模に応じた選択:

 500万円未満の小規模工事を専門に行う事業者であれば、解体工事業登録で十分です。一方、500万円以上の工事を受注する予定がある場合や、公共工事・大手ゼネコンの下請を目指す場合は、建設業許可の取得を検討すべきです。


段階的な移行も選択肢:

 事業開始当初は解体工事業登録でスタートし、事業の成長に合わせて建設業許可へ移行するという段階的アプローチも有力な選択肢です。当事務所では、事業計画をお伺いしたうえで、最適な制度選択と移行タイミングをアドバイスしております。

まとめ:制度の違いを正しく理解した適切な選択を

 建設業許可(解体工事業)と解体工事業登録は、根拠法・目的・要件・営業範囲・費用のいずれも大きく異なる別個の制度です。500万円以上の解体工事を請け負うには建設業許可が必須であり、500万円未満の工事のみを行う場合は解体工事業登録で足ります。なお、平成28年改正以降「とび・土工・コンクリート工事業」の許可では解体工事を請け負えなくなっており、令和元年5月31日をもって経過措置も終了しています。両制度の特徴を正しく理解し、事業規模・営業エリア・将来計画を踏まえた適切な選択を行うことが、事業の安定と成長の鍵となります。当事務所では、解体工事業登録から建設業許可への移行、複数都道府県での登録手続きまで、お客様の事業ステージに応じた最適なサポートを提供しておりますので、お気軽にご相談ください。