複数の都道府県で解体工事を行う際の手続きを解説!
解体工事業登録は、営業所の所在地ではなく工事を行う都道府県ごとに必要です。複数県で施工する場合の手続きや費用、建設業許可がある場合の扱い、未登録で工事した際のリスクを解説しています。

複数の都道府県で解体工事を行う際の手続きを解説!

1|解体工事業登録の地域的効力に関する基本原則

都道府県知事ごとの登録制度:

 解体工事業登録は建設リサイクル法第21条に基づき、解体工事を行おうとする区域を管轄する都道府県知事ごとに受ける制度です。建設業許可のような「大臣許可」「知事許可」といった区分は存在せず、すべて都道府県知事による登録となります。そのため、原則として工事を施工する都道府県ごとに別個の登録を受ける必要があります。


営業所所在地ではなく工事施工地が基準:

 ここで特に重要なのは、登録の基準が「営業所の所在地」ではなく「工事を施工する場所」にある点です。建設業許可では営業所所在地を基準として大臣許可・知事許可が決定されますが、解体工事業登録ではこの考え方が採用されていません。営業所の有無や所在地に関わらず、解体工事を実施しようとする都道府県の知事に対して登録申請を行う必要があります。


2|建設業許可制度との比較

地域的効力の違い:

 建設業許可と解体工事業登録は、地域的効力の考え方が根本的に異なります。実務上混同されやすいポイントですので、以下の比較表で整理いたします。

項目 解体工事業登録 建設業許可
根拠法  建設リサイクル法 建設業法
効力範囲の基準  工事の施工場所 営業所の所在地
施工可能エリア 登録を受けた都道府県内のみ 許可区分にかかわらず全国で施工可
請負金額制限  税込500万円未満 制限なし


知事許可と登録の混同に注意:

 建設業の知事許可を受けている事業者は、営業所が当該都道府県内にあるというだけで、工事自体は全国どこでも施工することができます。一方、解体工事業登録の場合、ある都道府県で登録を受けても、その効力は当該都道府県内の工事に限定されます。この違いは特に注意すべきポイントです。

3|複数都道府県で工事を行う場合の登録方法

都道府県ごとに個別申請:

 例えば、鹿児島県に営業所を構える事業者が、鹿児島県・宮崎県・熊本県で500万円未満の解体工事を請け負う場合、3県すべてで個別に登録申請を行う必要があります。各都道府県ごとに申請書類を作成し、それぞれの窓口へ提出することになります。


手数料の発生:

 各都道府県への登録には、それぞれ新規登録手数料33,000円が必要となります。複数県で登録する場合、その県数分の手数料負担が発生する点も計画上の重要事項です。手数料の概算は以下のとおりです。

登録県数 新規登録手数料の総額
1県 33,000円
3県 99,000円
5県 165,000円
10県 330,000円

4|建設業許可を保有している場合の特例

登録が不要となるケース:

 土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を取得している事業者は、解体工事業登録を受ける必要がありません。建設リサイクル法第21条第1項ただし書において、これらの建設業許可業者は登録対象から除外されているためです。


全国対応の観点からのメリット:

 建設業許可を保有している場合、許可の効力は全国に及ぶため、複数県で解体工事を請け負う際にも個別の登録手続きが不要となります。営業エリアの拡大を見据えた事業者にとって、建設業許可の取得は手続コストの削減という観点からも大きなメリットがあります。


5|将来的な事業展開を踏まえた選択

登録と許可の使い分け:

 複数県で営業を展開される事業者様の場合、登録を重ねるよりも建設業許可の取得を検討された方が合理的なケースもあります。事業規模・営業エリア・受注見込みに応じた選択の目安を整理します。

事業状況 推奨される手続き
1県のみ・500万円未満の工事のみ  解体工事業登録(1県)
2~3県・500万円未満の工事のみ  各県で解体工事業登録
4県以上・500万円未満の工事のみ  建設業許可の取得を検討
500万円以上の工事を予定  建設業許可(解体工事業)必須


更新手続きの負担も考慮:

 解体工事業登録5年ごとの更新が必要となります。複数県で登録している場合、それぞれの登録について更新時期を管理し、手続きを行わなければなりません。更新手数料は一般的に1県あたり26,000円であり、登録県数が多いほど管理負担と費用負担が増大します。

6|未登録県での工事施工リスク

建設リサイクル法違反の罰則:

 未登録の都道府県で解体工事を施工した場合、建設リサイクル法第48条に基づき1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。法人の場合は両罰規定により法人と代表者の双方が処罰の対象となる点にも注意が必要です。


事業継続への影響:

 罰則を受けた場合、解体工事業の登録取消事由に該当することとなり、登録取消後2年間は再登録が認められないため、事業継続そのものが困難となります。しかも、再登録が認められないのは処分を受けた都道府県に限られず、全国いずれの都道府県においても2年間は新たな登録を受けることができません。これは建設リサイクル法第24条第1項において「解体工事業の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者」が登録拒否事由として規定されており、いずれの都道府県知事もこの欠格要件に該当する者の登録を拒否しなければならないためです。営業エリアの拡大時には、登録県での施工が全国規模での事業停止につながる重大なリスクをはらんでいることを認識し、必ず事前に登録手続きを完了させることが不可欠です。


7|実務上の留意点

登録県の増加時の手続:

 新たな都道府県で工事を請け負うことが決まった場合、工事着手前に登録を完了させる必要があります。標準的な審査期間は申請から登録完了まで30日~45日程度を要しますので、受注予定が判明した段階で速やかに申請準備に着手することが重要です。


変更届の提出義務:

 商号・名称、営業所の所在地、役員、技術管理者等に変更が生じた場合、登録を受けているすべての都道府県に対して、それぞれ変更届を提出する必要があります。変更があった日から30日以内の届出が義務付けられているため、複数県で登録している場合は手続きの抜け漏れに特に注意が必要です。


まとめ:適切な手続選択でリスク回避を

事業計画に応じた登録戦略:

 解体工事業登録工事を施工する都道府県ごとに個別の登録が必要であり、建設業許可とは効力範囲の考え方が大きく異なります。複数県での事業展開を予定される場合は、各県への登録手続きと、それぞれの更新管理が必要となる点を踏まえ、計画的な準備が欠かせません。


専門家への相談メリット:

 複数県への登録申請や、登録から建設業許可への移行、更新管理など、解体工事業に関わる手続きは煩雑かつ専門性が求められます。許認可に精通した行政書士に依頼することで、登録による法令違反リスクを回避しつつ、事業者様は本業である解体工事に専念することが可能となります。営業エリアの拡大をお考えの際は、ぜひお早めにご相談ください。