建設業許可は建設業法に基づく制度であり、解体工事業登録は建設リサイクル法に基づく制度です。両者は別個の法律に基づくため、本来的には独立した手続きですが、建設業法および建設リサイクル法の規定により一定の場合に重複適用が排除されています。
建設リサイクル法第21条第1項では、解体工事業を営もうとする者は都道府県知事の登録を受けなければならないと規定する一方で、同条但書において建設業法第3条第1項の許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業に係るものに限る)を受けた者については登録を要しない旨が定められています。この規定が、建設業許可取得者が解体工事業登録を免除される法的根拠となります。
建設リサイクル法上、解体工事業登録が不要となるのは、次のいずれかの建設業許可を有する事業者に限られます。具体的には土木工事業・建築工事業・解体工事業の3業種です。これら以外の業種の許可しか有していない場合は、たとえ建設業許可業者であっても解体工事業登録が必要となります。
業種別の登録要否を整理すると、次のとおりとなります。
| 保有する建設業許可 | 解体工事業登録 | 備考 |
|---|---|---|
| 解体工事業 | 不要 | 全国で施工可能 |
| 土木工事業 | 不要 | 全国で施工可能 |
| 建築工事業 | 不要 | 全国で施工可能 |
| とび・土工工事業 | 必要 | 施工する都道府県ごとに登録 |
| その他の業種のみ | 必要 | 施工する都道府県ごとに登録 |
| 許可なし(500万円未満のみ) | 必要 | 施工する都道府県ごとに登録 |
平成28年6月1日施行の建設業法改正により、それまでとび・土工工事業の一部として扱われていた解体工事が、独立した「解体工事業」として新設されました。この法改正以前は、とび・土工工事業の許可で解体工事を施工することが可能でしたが、改正後は経過措置期間(令和元年5月31日まで)を経て、現在では原則として解体工事業の許可が必要となっています。
現在、とび・土工工事業の許可のみを有する事業者が500万円未満の解体工事を行う場合は、別途解体工事業登録が必要となります。500万円以上の解体工事を行う場合は、解体工事業の建設業許可を別途取得しなければなりません。とび・土工工事業の許可だけでは、解体工事の元請けとしての受注は事実上困難となる点に注意が必要です。
土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を取得している場合、全国どの都道府県でも解体工事業登録なしに解体工事を施工することが可能です。知事許可・大臣許可の別を問わず、許可業種に応じた工事であれば営業所所在地以外の都道府県でも施工可能となります。
解体工事業登録は、施工する都道府県ごとに登録が必要となる仕組みです。本店所在地の都道府県のみで登録すれば足りるわけではなく、たとえば東京都に登録した事業者が埼玉県で解体工事を行う場合は、別途埼玉県知事への登録が必要となります。両制度の営業区域の違いを整理すると次のとおりです。
| 制度 | 営業区域の考え方 |
|---|---|
| 建設業許可(土木・建築・解体のいずれか) | 全国で施工可能 |
| 解体工事業登録 | 施工する都道府県ごとに登録が必要 |
これまで解体工事業登録を行っていた事業者が、新たに土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を取得した場合、登録は不要となるため、廃業届の提出が必要となります。具体的には、廃業の事由が生じた日から30日以内に、登録を受けていた都道府県知事に廃業届を提出しなければなりません(建設リサイクル法第27条第1項)。
廃業届の提出を怠った場合、建設リサイクル法第53条第2号の規定により10万円以下の過料に処せられる可能性があります。過料は刑事罰ではなく行政上の秩序罰であり、前科がつくものではありませんが、行政処分として金銭的負担を強いられる点に変わりはありません。建設業許可を取得した後は、解体工事業登録の廃業届を速やかに提出することが重要です。
ご自身が保有する建設業許可の業種を正確に確認することが第一歩です。許可通知書や許可申請書控えにより、許可業種が「解体工事業」「土木工事業」「建築工事業」のいずれかに該当するかを確認しましょう。「とび・土工工事業」の許可は解体工事業登録の免除対象ではない点に特に注意が必要です。
平成28年6月1日の法改正前にとび・土工工事業の許可を取得していた事業者で、改正時に「解体工事業のみなし許可」を受けていた場合、令和元年5月31日をもって経過措置は終了しています。現時点で解体工事業の許可を別途取得していない場合は、500万円以上の解体工事を施工することができませんので、許可状況を改めて確認することをおすすめいたします。
公共工事の入札参加を目指す事業者にとって、経営事項審査(経審)は必須の手続きとなりますが、経審は建設業許可を有する業種についてのみ受審可能です。解体工事業登録のみでは経審を受審することができないため、公共工事の元請けとしての参入を視野に入れている場合は、解体工事業の建設業許可の取得を積極的に検討すべきです。
建設業許可を取得した場合に解体工事業登録が不要となるのは、解体工事業・土木工事業・建築工事業のいずれかの許可を有する場合に限られます。とび・土工工事業を含むその他の業種の許可しか有していない場合は、引き続き解体工事業登録が必要となります。
平成28年6月の法改正により解体工事業が独立した業種として新設されて以降、許可制度の枠組みは大きく変わりました。とび・土工工事業の許可で解体工事を行うことができた時代は終わり、現在では業種ごとの正確な許可取得が求められています。
建設業許可を新たに取得して解体工事業登録が不要となった場合は、30日以内に廃業届を提出する義務があり、これを怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。許可業種ごとの登録要否、複数の都道府県で施工する際の手続き、廃業届の期限など、実務上注意すべきポイントは少なくありません。
ご自身の許可状況や事業展開エリアを踏まえ、必要な手続きを正確に判断することが、コンプライアンス遵守と事業の円滑な運営に直結します。判断に迷う場面では、許認可に精通した行政書士へのご相談をおすすめいたします。