一般建設業許可と特定建設業許可の違いを解説!
一般建設業許可と特定建設業許可は、下請発注金額や財産的要件、技術者要件に大きな違いがあります。一人親方がどちらを選ぶべきか、実務上の判断基準をわかりやすく解説しています。

一般建設業許可と特定建設業許可の違いを解説!

一般建設業許可と特定建設業許可の違いについて|一人親方が選ぶべき許可区分とは

 建設業許可を取得しようとする際、必ずといっていいほど直面するのが「一般建設業許可」と「特定建設業許可」のどちらを選ぶかという問題です。この2つの許可区分は、名称こそ似ていますが、取得要件や対象となる工事の規模において大きな違いがあります。誤った区分で申請してしまうと、後から取り直しが必要になるケースもあるため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。本記事では、2つの許可区分の違いを詳しく解説したうえで、元請からの要請や事業拡大を検討している一人親方の方がどちらを選ぶべきかについて、実務的な観点から明確にお伝えします。


一般建設業許可と特定建設業許可の基本的な違い

 この2つの許可区分を分ける基準は、発注者から直接請け負った工事を下請業者に発注する金額の規模です。元請業者として工事を受注し、その工事の一部または全部を下請業者に発注する際の金額が一定の基準を超える場合に、特定建設業許可が必要となります。

比較項目 一般建設業許可 特定建設業許可

下請発注金額の上限

5,000万円未満(建築一式は8,000万円未満) 制限なし

取得要件の難易度

比較的取得しやすい 一般より厳格な要件が必要

専任技術者の要件

1級・2級国家資格または実務経験 原則として1級国家資格または同等の実務経験

財産的要件

自己資本500万円以上または残高証明500万円以上 自己資本4,000万円以上等、より高い要件

対象となる事業者

下請専門業者・小〜中規模の元請業者 大規模工事の元請業者

 ここで特に重要なのが、2025年2月1日に施行された建設業法改正による金額要件の引き上げです。改正前は特定建設業許可が必要となる下請発注金額の基準が「4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)」でしたが、改正後は「5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)」に引き上げられました。この改正は建設コストの上昇や賃金水準の変化を踏まえたものであり、現在の申請においては改正後の基準が適用されます。


工事の種類 改正前(〜2025年1月31日) 改正後(2025年2月1日〜)
建築一式工事 7,000万円以上 8,000万円以上
その他の工事 4,500万円以上 5,000万円以上

特定建設業許可が必要となる具体的なケース

 特定建設業許可が必要となるのは、あくまでも「元請として受注した工事を下請業者に発注する金額」が基準を超える場合に限られます。以下のような場合には特定建設業許可が必要です。

  • 元請として1億円の建築工事を受注し、そのうち8,000万円以上を下請業者に発注する場合
  • 元請として7,000万円の土木工事を受注し、5,000万円以上を複数の下請業者に発注する場合

一方、以下のような場合は一般建設業許可で対応できます。

  • 下請業者として元請から工事を受注し、自社のみで施工する場合(発注金額に関わらず)
  • 元請として工事を受注しても、下請への発注金額の合計が5,000万円未満(建築一式は8,000万円未満)の場合
  • 自社施工のみで下請業者を使わない場合

 つまり、特定建設業許可の要否は「自社が元請かどうか」と「下請への発注金額の合計」の2点で判断することになります。下請業者として働く限り、いくら大きな工事に携わっていても特定建設業許可は不要です。


特定建設業許可の取得要件

 特定建設業許可は一般建設業許可と比較して、取得要件が大幅に厳格化されています。主な要件の違いを整理すると以下のとおりです。
専任技術者の要件

要件区分 一般建設業許可 特定建設業許可

国家資格

1級または2級の国家資格 原則として1級の国家資格

実務経験

10年以上の実務経験(学歴により短縮可) 指定建設業(土木・建築・電気など7業種)は実務経験不可・1級資格必須


財産的基礎の要件

要件区分 一般建設業許可 特定建設業許可

自己資本

500万円以上 4,000万円以上

流動比率

規定なし 75%以上

欠損の比率

規定なし 20%以下

資本金

規定なし 2,000万円以上

 特定建設業許可の財産的要件は、一般建設業許可の8倍にあたる自己資本4,000万円以上が求められます。これは、大規模工事を元請として受注した際に下請業者への支払いを確実に行えるだけの財務基盤を持つことを担保するためのものです。一人親方や設立間もない小規模事業者にとっては、この財産要件が最大のハードルとなります。

一人親方が選ぶべき許可区分

 結論として、元請からの要請や事業拡大を目的として建設業許可を取得しようとしている一人親方の方には、一般建設業許可の取得が適切です。その理由は以下のとおりです。

理由① 下請発注金額の規模が基準に達しない

 一人親方として活動している段階では、仮に元請として工事を受注したとしても、下請業者への発注金額が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上に達するケースは極めて稀です。多くの場合、自分自身が職人として施工するか、少数の協力業者に小規模な発注を行う程度であり、特定建設業許可が必要となる規模には至りません。


理由② 特定建設業許可の財産要件を満たすことが困難

 特定建設業許可に必要な自己資本4,000万円以上という要件は、独立したばかりの一人親方にとって現実的に満たすことが難しい水準です。一般建設業許可であれば自己資本500万円以上または残高証明書で対応できるため、参入障壁が大幅に下がります。


理由③ 元請からの要請は一般建設業許可で対応できる

 元請業者が下請業者に対して許可取得を求める場合、その多くは「建設業許可を持っているかどうか」という事実を重視しており、一般か特定かを厳密に問うケースは少数です。一般建設業許可を取得することで、元請からの要請には十分に応えることができます。

判断基準 一人親方の実態 結論

下請発注金額

5,000万円以上になることは稀 一般で対応可能

財産的要件

自己資本4,000万円の確保は困難 一般(500万円)が現実的

元請からの要請

許可の有無を問われるケースがほとんど 一般で要件を満たせる

専任技術者要件

2級資格や実務経験で対応可能 一般の要件で十分

将来的に特定建設業許可が必要になった場合

 現時点では一般建設業許可で十分であっても、事業が拡大し法人化や従業員の雇用が進んだ段階で、特定建設業許可が必要になるケースが生じることがあります。その場合は、一般建設業許可から特定建設業許可への「般・特新規申請」を行うことで切り替えることができます。


 ただし、般・特新規申請においても特定建設業許可の全要件(財産的要件・専任技術者要件等)を改めて満たす必要があるため、事前に十分な準備が必要です。また、同一業種について一般と特定の両方の許可を同時に持つことはできないため、切り替えのタイミングにも注意が必要です。


 将来的な事業拡大を見据えて、今のうちから財務基盤の強化や技術者の資格取得(1級資格へのステップアップ)を計画的に進めておくことが、スムーズな切り替えにつながります。


まとめ|一人親方はまず一般建設業許可の取得を目指す

 一般建設業許可と特定建設業許可の最大の違いは、元請として受注した工事を下請業者に発注する金額が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)かどうかという点です。一人親方として活動している段階では、この基準に達するケースはほぼなく、取得要件の面からも一般建設業許可の取得が現実的かつ適切な選択です。


 なお、この金額基準は2025年2月1日の建設業法改正により引き上げられた最新の基準であるため、古い情報を参照している場合は注意が必要です。「自分はどちらの許可が必要か」「将来的に特定に切り替えるべきかどうか」など、許可区分の選択に迷われている方は、ぜひ一度ご相談ください。事業の現状と将来計画を踏まえた最適な許可取得プランをご提案いたします。