リフォーム工事はどの業種になるか解説!
リフォーム工事には「リフォーム業」という許可業種はなく、工事内容に応じて内装仕上・大工・塗装など適切な業種を選ぶ必要があります。業種判断の考え方や注意点、要件まで解説しています。

リフォーム工事はどの業種になるか解説!

1|リフォーム工事に「一つの正解業種」はない

リフォーム工事の業種選定が難しい理由:

 リフォーム工事は、建設業許可の業種選定において最も判断が難しい工事のひとつです。その理由は、リフォーム工事が単一の工種で完結することが少なく、複数の工種が複合的に絡み合う複合工事であるケースがほとんどだからです。例えば、住宅のリフォーム工事一件の中に、床の張り替え(内装仕上工事)・壁の塗り替え(塗装工事または左官工事)・建具の交換(建具工事)・水回りの改修(管工事)・照明の交換(電気工事)が含まれることは珍しくありません。このような場合、「リフォーム工事業」という業種は建設業法上存在しないため、自分が主として行う工事の内容に応じて適切な業種を選定する必要があります。一人親方として許可取得を検討する際は、まず自分のリフォーム工事の主たる工事内容を正確に把握することが出発点となります。


業種選定の基本的な考え方:

 リフォーム工事の業種選定においては、「工事全体の中で最も主要な工事は何か」を基準に判断することが基本です。工事全体の中で中心的な工事が内装仕上げであれば内装仕上工事業、木工事・造作工事が中心であれば大工工事業、塗装が中心であれば塗装工事業というように、主たる工事の内容に対応した業種の許可を取得することが原則となります。また、複数の工種を均等に請け負っている場合や、工事ごとに主たる工事内容が異なる場合は、複数業種の許可を同時に取得することも選択肢のひとつです。業種の選定を誤ると、許可業種外の工事を請け負うことになり、建設業法違反となるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。

2|リフォーム工事に関連する主な業種と工事内容

内装仕上工事業:

 内装仕上工事業は、リフォーム工事において最も関連性が高い業種のひとつです。床工事(フローリング・カーペット・クッションフロア・タイル貼り)・壁工事(クロス貼り・パネル取り付け)・天井工事(石膏ボード張り・天井仕上げ)・インテリア工事・家具工事・畳工事などが該当します。内装リフォームを主体とする一人親方の多くは、この内装仕上工事業許可取得が最も適切な選択となります。専任技術者の要件としては、2級建築施工管理技士(仕上げ)・内装仕上げ施工や床仕上げ施工などの技能検定合格者、または内装仕上工事の実務経験10年以上が認められています。


大工工事業:

 大工工事業は、木材の加工・取り付けによって構造物を築造する工事を対象とします。リフォーム工事においては、木造軸組の補修・補強・増築に係る工事、造作工事(押し入れ・棚・階段等の木工事)、木製下地工事などが該当します。大工工事内装仕上工事は工事内容が隣接しており、判断が難しいケースもありますが、木材の加工・組み立てを主体とする工事は大工工事業、仕上げ材の施工を主体とする工事は内装仕上工事業として区分されることが一般的です。木造住宅のリフォームを専門とする大工職人の一人親方は、大工工事業の許可取得が適切な場合が多いでしょう。


その他のリフォーム工事に関連する業種:

 リフォーム工事に関連する業種は内装仕上工事業・大工工事業だけではありません。工事内容によって、以下のような業種が関連してきます。

業種 リフォーム工事における主な工事内容
大工工事業  木造軸組補修・造作工事・木製下地工事
内装仕上工事業  床・壁・天井の仕上げ工事・クロス貼り
塗装工事業  外壁塗装・内壁塗装・屋根塗装
左官工事業  モルタル塗り・漆喰塗り・タイル下地
管工事業  給排水管改修・浴室・キッチン水回り改修
電気工事業  電気配線工事・照明器具交換・コンセント増設
建具工事業  窓サッシ交換・ドア取り替え・引き戸設置
屋根工事業  屋根葺き替え・屋根カバー工法
防水工事業  ベランダ防水・屋上防水・外壁防水
タイル・れんが・ブロック工事業  タイル貼り・タイル張り替え

3|業種選定の具体的な判断プロセス

自分の工事内容を棚卸しする:

 リフォーム工事の業種選定において最初に行うべきことは、自分が実際に請け負っている工事内容の棚卸しです。過去1〜2年間に手がけた工事を列挙し、工事の種類・内容・金額・割合を整理します。その中で最も件数・金額の割合が高い工事内容が、申請すべき主たる業種の目安となります。例えば、工事件数の7割が床・クロス等の内装仕上げ工事であれば内装仕上工事業、6割が外壁・屋根の塗装工事であれば塗装工事業が主たる業種の候補となります。この棚卸しの結果は、申請書類における実務経験の証明にも活用できるため、丁寧に整理しておくことが重要です。


複数業種の同時申請を検討する:

 リフォーム工事において複数の工種を均等に請け負っている場合や、今後の事業拡大に伴い複数業種での受注を予定している場合は、複数業種の許可を同時申請することが有効な選択肢です。建設業許可の新規申請手数料は、知事許可の場合、業種数にかかわらず9万円(一律)です。後から業種を追加する「業種追加申請」を行う場合も同額の手数料が必要となるため、最初から必要な業種をまとめて申請することがコスト面でも合理的です。ただし、複数業種を同時申請するためには、各業種に対応した専任技術者の要件を同時に満たす必要があるため、保有資格・実務経験の確認が不可欠です。

申請パターン 手数料(知事許可) メリット 注意点
1業種のみ申請  90,000円 要件を満たした業種から早期取得可能 後から業種追加すると追加90,000円が必要
複数業種同時申請  90,000円 コストを抑えて複数業種を一括取得 全業種の専任技術者要件を同時に満たす必要あり

4|リフォーム工事で注意すべき業種判断の落とし穴

建築一式工事での申請は原則として適切でない:

 リフォーム工事の業種選定において多い誤りのひとつが、建築一式工事」での申請です。「リフォームは建物全体に関わる工事だから建築一式工事でいいのでは?」と考える方がいますが、これは原則として誤りです。建築一式工事とは、総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事であり、複数の専門工事業者を束ねて工事全体を元請として統括・管理する立場に必要な許可です。一般的なリフォーム工事は、この定義に該当しないケースがほとんどであり、建築一式工事の許可を取得しても、個々の専門工事(内装仕上工事・塗装工事等)を単独で請け負う権限は与えられません。リフォーム工事には、実際の工事内容に対応した専門工事業の許可を取得することが正しい選択です。


附帯工事の範囲を超えた場合のリスク:

 リフォーム現場では複数の工種が絡み合うため、附帯工事の範囲を超えた工事を無許可で施工してしまうリスクがあります。例えば、内装仕上工事業の許可を持つ事業者が、リフォーム工事の中で給排水管の全面改修工事(管工事)を請け負った場合、その規模・金額によっては附帯工事の範囲を超え、管工事業の許可が別途必要と判断される可能性があります。このような状況を避けるためにも、自分の許可業種の範囲内でどこまでの工事が対応できるかを常に意識し、判断に迷う場合は許可行政庁や行政書士に事前確認することが重要です。

5|専任技術者の要件と実務経験の証明

リフォーム工事における専任技術者の要件:

 建設業許可を取得するためには、営業所に専任技術者を置くことが必須要件のひとつです。専任技術者の要件は、対応する国家資格の保有か、または一定年数の実務経験で満たすことができます。一人親方の場合、自分自身が専任技術者を兼任するケースが多いですが、申請する業種ごとに要件を満たしていることを証明する書類が必要です。資格で要件を満たす場合は資格証の写しを、実務経験で満たす場合は過去の工事の契約書・注文書・請求書等を原則10年分準備する必要があります。リフォーム工事の実務経験を証明する書類が手元にない場合は、早期に整理・収集を開始することをお勧めします。


主な業種の専任技術者要件の比較:

 リフォーム工事に関連する主な業種の専任技術者要件を以下にまとめます。

業種 資格による要件例 実務経験による要件
大工工事業  2級建築施工管理技士・木造建築士等 大工工事の実務経験10年以上
内装仕上工事業  2級建築施工管理技士(仕上げ)等 内装仕上工事の実務経験10年以上
塗装工事業  2級土木・建築施工管理技士等 塗装工事の実務経験10年以上
管工事業  2級管工事施工管理技士等 管工事の実務経験10年以上
建具工事業  2級建築施工管理技士等 建具工事の実務経験10年以上

まとめ:工事内容の棚卸しと専門家への相談が業種選定の近道

 リフォーム工事の業種選定に「一つの正解」はなく、自分が主として行う工事の内容に応じて適切な業種を選定することが基本原則です。内装仕上げが中心なら内装仕上工事業、木工事・造作工事が中心なら大工工事業、塗装が中心なら塗装工事業というように、実際の工事内容に忠実に業種を選定することが重要です。また、複数の工種を均等に請け負っている場合は、複数業種の同時申請が有効な選択肢となります。業種選定を誤ると許可業種外の工事を請け負うリスクがあるため、判断に迷う場合は、建設業許可に詳しい行政書士への早期相談が最善策です。自分の工事内容を正確に棚卸しした上で、専門家のサポートのもと最適な業種選定と許可申請を進めることをお勧めします。