特定建設業と指定7業種(指定建設業)の違いを解説!
特定建設業は、元請として多額の下請発注を行う場合に必要な許可区分です。あわせて指定7業種(指定建設業)との違いや、1級資格が必要となる場面、将来の事業拡大で備えるべき要点を解説しています。

特定建設業と指定7業種(指定建設業)の違いを解説!

1|建設業許可の区分:一般建設業と特定建設業

許可区分の基本的な仕組み:

 建設業許可には、一般建設業特定建設業という2つの許可区分があります。この区分は、元請業者として工事を受注した際に、下請業者に発注する金額の規模によって決まります。具体的には、元請業者が下請業者に発注する金額の合計が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる場合に、特定建設業の許可が必要となります。これらの金額に満たない場合、または下請工事を行わない場合は、一般建設業の許可で足ります。一人親方として許可取得を検討している段階では、多くの場合、一般建設業の許可が対象となりますが、将来的に事業を拡大して元請として大型工事を受注するようになった場合には、特定建設業への移行を検討する必要が生じます。


一般建設業と特定建設業の主な違い:

 一般建設業特定建設業の違いは、下請発注金額の基準だけではありません。特定建設業は、大規模な工事において多くの下請業者を束ねる立場であることから、財産的基礎・専任技術者の要件・監理技術者の配置など、あらゆる面で一般建設業よりも厳格な要件が課されています。

項目 一般建設業 特定建設業
下請発注金額の上限  5,000万円未満(建築一式は8,000万円未満) 制限なし
財産的基礎(純資産)  500万円以上 4,000万円以上
専任技術者の要件  一定の資格または実務経験 1級国家資格者等(指定業種は必須)
現場の技術者  主任技術者 監理技術者(指定業種は国家資格必須)
下請業者への支払義務  規定なし 支払期日(50日以内)の規制あり※1

※1・・・建設業法第24条の5

2|特定建設業の定義と必要となる場面

特定建設業が必要となる具体的な場面:

 特定建設業の許可が必要となるのは、元請業者として建設工事を受注し、その工事における下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる場合です。この金額基準は、一次下請業者への発注金額の合計であり、二次下請以降の発注金額は含みません。また、この基準はあくまでも「元請業者として工事を受注した場合」に適用されるものであり、下請として工事を受注する場合は、発注金額にかかわらず一般建設業の許可で足ります。一人親方が元請として大型リフォーム工事や新築工事を受注し、複数の専門業者に下請発注する規模に事業が成長した場合に、特定建設業への切り替えが必要となります。


特定建設業の財産的基礎要件:

 特定建設業の許可を取得・維持するためには、一般建設業よりも厳格な財産的基礎の要件を満たす必要があります。具体的には、①欠損額が資本金の20%以内、②流動比率が75%以上、③資本金が2,000万円以上、④純資産が4,000万円以上という4つの要件をすべて満たす必要があります。これらの要件は、毎事業年度終了後に提出する決算変更届においても継続して満たしていることが確認されるため、財務管理の徹底が求められます。一般建設業の財産的基礎要件(自己資本500万円以上等)と比較すると、特定建設業の要件がいかに厳格であるかがわかります。

3|指定7業種(指定建設業)とは何か

指定建設業の定義:

 指定建設業とは、建設業法施行令第5条の2に規定された、施工技術の総合性・施工技術の普及状況その他の事情を考慮して国土交通大臣が指定する建設業の種類です。現在指定されている業種は以下の7業種であり、「指定7業種」とも呼ばれます。

No. 指定建設業(指定7業種)
土木工事業
建築工事業
電気工事業
管工事業
鋼構造物工事業
舗装工事業
造園工事業

 これらの7業種は、社会インフラや建築物の根幹を担う重要性の高い工事分野であり、施工品質の確保と技術水準の維持が特に重要とされることから、指定建設業として特別な規制が設けられています。


指定建設業が特定建設業と結びつく理由:

 指定建設業の概念が重要になるのは、主に特定建設業の許可を取得する場面においてです。指定7業種において特定建設業の許可を取得する場合、専任技術者および現場に配置する監理技術者の要件が、他の業種よりも一段と厳格に規定されています。具体的には、指定7業種特定建設業においては、専任技術者および監理技術者として、1級の国家資格者または国土交通大臣が認定した者でなければならないとされており、実務経験のみによる要件充足が認められていません。この点が、指定建設業と非指定建設業の最も大きな違いです。

4|特定建設業における監理技術者の要件

監理技術者とは:

 監理技術者とは、特定建設業者が元請として施工する工事現場に配置が義務付けられる技術者です。一般建設業における主任技術者に相当するポジションですが、監理技術者はより高度な技術力と管理能力が求められます。監理技術者の職務は、工事全体の施工計画の作成・工程管理・品質管理・安全管理に加え、下請業者の施工管理・指導監督まで含まれます。特定建設業者が下請に多額の工事を発注する立場である以上、工事全体の品質・安全を統括する監理技術者の資質は、発注者・社会に対して極めて重要な意味を持ちます。


指定7業種と非指定業種の監理技術者要件の違い:

 監理技術者の要件は、指定建設業(指定7業種)か否かによって大きく異なります。指定7業種特定建設業においては、監理技術者は1級の国家資格者(または国土交通大臣認定者)でなければならず、実務経験のみによる要件充足は一切認められません。一方、非指定業種の特定建設業においては、1級国家資格者のほか、一定の実務経験(指導監督的実務経験2年以上を含む)を持つ者も監理技術者となることができます。

項目 指定7業種の特定建設業 非指定業種の特定建設業
監理技術者の資格要件 1級国家資格者または国土交通大臣認定者のみ 1級国家資格者または一定の実務経験者
実務経験のみによる充足  認められない 条件付きで認められる
専任技術者の要件  同上(監理技術者と同様) 同上(監理技術者と同様)

5|一人親方が特定建設業・指定7業種を意識すべき場面

現段階での実務的な影響:

 一人親方として建設業許可の取得を検討している段階では、多くの場合、特定建設業指定7業種の要件が直接的な影響を及ぼす場面は限られています。しかし、将来の事業拡大を見据えた長期的な視点では、これらの概念を理解しておくことは非常に重要です。例えば、電気工事業・管工事業・造園工事業など指定7業種に該当する業種で許可を取得し、将来的に事業規模が拡大して特定建設業への移行が必要となった場合、1級の国家資格取得が必須となります。早い段階から1級資格の取得を視野に入れてキャリアプランを設計しておくことが、将来の事業拡大をスムーズに進める上での重要な準備となります。


指定7業種に該当する場合の早期準備の重要性:

 電気工事業・管工事業・土木工事業・建築工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業のいずれかを主たる業種として許可取得を検討している一人親方は、将来の特定建設業移行を見据えて1級国家資格の取得計画を早期に立てることが賢明です。1級資格の取得には、一定の実務経験年数を経た上での受験・合格が必要であり、計画的な準備なしには取得が難しい場合もあります。現段階での許可取得と並行して、長期的なキャリアアップ計画の中に1級資格取得を組み込んでおくことが、将来の事業成長に向けた最善策といえます。

指定7業種 特定建設業の監理技術者・専任技術者に必要な主な1級資格
土木工事業  1級土木施工管理技士・技術士(建設部門)等
建築工事業  1級建築施工管理技士・一級建築士等
電気工事業  1級電気工事施工管理技士等
管工事業  1級管工事施工管理技士等
鋼構造物工事業  1級土木施工管理技士・技術士(建設部門)等
舗装工事業  1級土木施工管理技士等
造園工事業  1級造園施工管理技士等

まとめ:特定建設業と指定7業種は「事業拡大の先にある関門」と理解しよう

 特定建設業とは、元請として下請業者に5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)を発注する場合に必要な許可区分であり、財産的基礎・専任技術者・監理技術者のすべての面で一般建設業より厳格な要件が課されます。指定7業種(指定建設業)とは、土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種であり、これらの業種で特定建設業の許可を取得する場合は、専任技術者および監理技術者として1級国家資格者が必須とされ、実務経験のみによる要件充足が認められません。現段階で一人親方として一般建設業の許可取得を目指す方も、将来の事業拡大を見据えて特定建設業・指定7業種の要件を理解し、1級資格取得を含む長期的なキャリアプランを早期に描いておくことが、持続的な事業成長への近道です。