経営事項審査(経審)の申請先を解説!
経審の申請先は、建設業許可を受けた許可行政庁です。知事許可は都道府県、大臣許可は地方整備局等が窓口となります。申請先の考え方に加え、申請前に必要な手続きや注意点も解説しています。

経営事項審査(経審)の申請先を解説!

1|申請先は「許可行政庁」が原則

許可行政庁とは何か:

 経審の申請先は、建設業許可を受けた行政庁(許可行政庁)と定められています。建設業法第27条の26の規定により、経審の申請は許可を受けた機関に対して行うことが原則です。つまり、どこに申請するかは「自社がどこから建設業許可を受けているか」によって自動的に決まる仕組みになっています。


国か都道府県かの判断基準:

 建設業許可には「大臣許可」と「知事許可」の2種類があり、どちらの許可を受けているかによって申請先が異なります。大臣許可業者は国土交通省(地方整備局等)へ、知事許可業者は当該都道府県へ申請します。まず自社の許可区分を確認することが、申請先を特定する最初のステップとなります。


2|大臣許可と知事許可の違い

許可区分の基本的な考え方:

 建設業許可の区分は、営業所の所在地が複数の都道府県にまたがるかどうかによって決まります。2つ以上の都道府県に営業所を設置して建設業を営む場合は国土交通大臣許可(大臣許可)が必要となり、1つの都道府県内にのみ営業所を設置する場合は都道府県知事許可(知事許可)となります。


許可区分と申請先の対応関係:

 以下のテーブルで、許可区分と経審の申請先の関係を整理します。

許可区分 営業所の状況 経審の申請先
国土交通大臣許可  2つ以上の都道府県に営業所あり 国土交通省(地方整備局等)
都道府県知事許可  1つの都道府県内のみに営業所あり 当該都道府県

 一人親方や小規模事業者の多くは、営業所が1か所のみであるケースがほとんどです。その場合は知事許可となり、申請先は当該都道府県の担当窓口となります。

3|知事許可業者の申請先(都道府県)

担当窓口の探し方:

 知事許可業者が経審を申請する場合、申請先は許可を受けた都道府県の建設業担当部署となります。具体的な窓口名称は都道府県によって異なりますが、「土木部」「土木建築部」「土木事務所」「建設業課」などの名称で設置されていることが多いです。各都道府県の公式ウェブサイトで確認するか、許可証に記載されている許可行政庁に問い合わせるとスムーズです。


申請場所が複数ある場合:

 都道府県によっては、申請窓口が本庁のみに集約されている場合と、地域の土木事務所等で受け付けている場合があります。申請前に管轄窓口と受付場所を必ず事前確認しておくことをお勧めします。手続きのために遠方まで出向く必要が生じる場合もあるため、余裕をもったスケジュール管理が重要です。


4|大臣許可業者の申請先(地方整備局等)

地方整備局とはどの機関か:

 大臣許可業者が経審を申請する場合、申請先は国土交通省の地方整備局等となります。地方整備局は国土交通省の地方支分部局であり、全国に8つの地方整備局のほか、北海道開発局・内閣府沖縄総合事務局が設置されています。自社の主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局等が申請先となります。


地方整備局等の管轄区域:

 以下のテーブルで、主な地方整備局等の管轄区域を整理します。

機関名 主な管轄都道府県
北海道開発局 北海道
東北地方整備局 青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島
関東地方整備局 茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・長野
北陸地方整備局 新潟・富山・石川
中部地方整備局 岐阜・静岡・愛知・三重
近畿地方整備局 福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山
中国地方整備局 鳥取・島根・岡山・広島・山口
四国地方整備局 徳島・香川・愛媛・高知
九州地方整備局 福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島
沖縄総合事務局 沖縄

5|経審申請の前に必要な手続き

決算変更届の提出が前提:

 経審を申請する前に、決算変更届(事業年度終了届)許可行政庁に提出しておく必要があります。決算変更届は、事業年度終了後4か月以内に提出することが義務づけられており、この届出が完了していないと経審の申請を受け付けてもらえません。申請のスケジュールを立てる際は、決算変更届の提出期限を必ず念頭に置いてください。


経営状況分析の申請が必要:

 経審の申請に先立ち、登録経営状況分析機関への申請も必要です。経審の審査項目の一つである「経営状況(Y点)」は、許可行政庁ではなく国土交通大臣の登録を受けた民間の分析機関が算出します。分析結果の通知書を取得してから、初めて許可行政庁への経審申請が可能となります。この2段階の手続きが必要な点は、初めて経審を受ける方が特に注意すべきポイントです。


6|申請方法(窓口申請・郵送・電子申請)

窓口申請と郵送申請:

 経審の申請方法は、都道府県や地方整備局によって異なります。従来は窓口への持参による申請が主流でしたが、現在は郵送申請を認めている機関も増えています。ただし、書類の不備があった場合に対応が遅れるリスクがあるため、初めて申請する場合は窓口申請が確実です。


電子申請の動向:

 近年、国土交通省は建設業手続きのデジタル化を推進しており、電子申請システム(JCIP等)の整備が進んでいます。都道府県によっては電子申請に対応しているケースもありますが、対応状況は機関によって異なります。申請前に管轄機関の最新情報を確認することをお勧めします。


7|申請書類の提出部数と注意点

提出部数の確認:

 経審の申請書類は、正本1部・副本1部の合計2部を提出するのが一般的です。ただし、申請先の機関によって求められる部数が異なる場合があります。事前に管轄窓口へ確認するか、各機関が公表している手引きを参照して正確な部数を把握しておきましょう。


書類の不備による影響:

 経審の申請書類に不備や記載漏れがあると、受理されずに差し戻されることがあります。差し戻しが重なると申請が大幅に遅延し、入札参加資格の更新スケジュールに支障をきたすおそれがあります。特に初めて申請する場合は、専門家のチェックを受けてから提出することを強くお勧めします。

8|申請費用(手数料)について

手数料の仕組み:

 経審の申請には審査手数料が必要です。手数料の金額は、申請する建設業の業種数によって異なります。具体的には、申請業種が1業種の場合の基本額に加え、業種が増えるごとに加算される仕組みとなっています。また、手数料の支払い方法は、収入印紙、収入証紙、現金での納付など行政庁によって異なるので事前に確認する必要があります。


手数料の目安:

 以下のテーブルで、申請業種数に応じた手数料の目安を示します(令和8年度時点・知事許可の場合)。

申請業種数 手数料の目安
1業種 11,000円
2業種 13,500円
3業種 16,000円
以降1業種増えるごとに 2,500円加算

 なお、手数料は申請先の機関や改定時期によって変更される場合があります。申請前に最新の手数料額を必ず確認してください。

まとめ:申請先は許可区分で決まる、まず自社の許可を確認しよう

 経審の申請先は、建設業許可を受けた許可行政庁です。知事許可業者は当該都道府県へ、大臣許可業者は管轄の地方整備局等へ申請します。また、経審の申請前には決算変更届の提出と経営状況分析機関への申請という2つの手続きが必要であり、全体のスケジュールを見通したうえで計画的に進めることが重要です。手続きの流れや必要書類については、専門の行政書士へお気軽にご相談ください。