P点(総合評定値)とは何か、計算式から解説!
経審のP点は、完成工事高・財務状況・経営状況・技術力・社会性などをもとに算出される総合評定値です。計算式や各項目の配点、有効期間、点数を高める考え方まで解説しています。

P点(総合評定値)とは何か、計算式から解説!

1|P点(総合評定値)の基本概念

定義と役割:

 P点(総合評定値)とは、経営事項審査(経審の最終的な結果として算出される数値であり、建設業者の総合的な経営力・技術力・社会性などを客観的に数値化したものです。公共工事の入札に参加する際に、発注機関が業者の格付けや入札参加資格の審査に用いる重要な指標となります。一人親方や小規模事業者が公共工事の元請として仕事を受けるためには、まずこのP点を取得・維持することが不可欠です。


P点が必要になる場面:

 P点は主に国や地方公共団体が発注する公共工事の入札参加資格申請において使用されます。各発注機関はP点の高低に応じて業者をランク分けし、工事規模に見合った業者のみが入札に参加できる仕組みを設けています。したがって、より規模の大きな公共工事を受注したい場合は、P点を高く維持することが直接的なビジネスチャンスの拡大につながります。


2|P点を構成する5つの審査項目

各審査項目の概要:

 P点は5つの審査項目の評点を組み合わせて算出されます。それぞれの項目は、建設業者の異なる側面を評価するものであり、下表のとおり定義されています。

記号 審査項目名 評価内容
X1  工事種類別年間平均完成工事高 業種ごとの施工実績
X2  自己資本額・利払前税引前償却前利益 財務の安定性・収益力
Y  経営状況 財務諸表に基づく経営健全度
Z  技術力 技術職員数・元請完成工事高
W  社会性等 社会保険加入・労働環境整備など


各項目の最高点と最低点:

 各審査項目には上限・下限が設定されており、いずれも最高2,159点・最低6点の範囲内で評点が算出されます。項目ごとに細かな計算方法が定められており、単純に売上を増やすだけでなく、バランスよく各項目を底上げすることがP点向上の基本戦略となります。

3|P点の計算式と各項目のウエイト

計算式の全体像:

 P点は以下の計算式によって算出されます。各審査項目に対してウエイト(重み)が設定されており、単純な合計ではなく加重平均によって総合評定値が決まります。

P = 0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W

(小数点第1位四捨五入で計算)


各項目のウエイト比較:

 下表のとおり、X1(完成工事高)とZ(技術力)がそれぞれ25%と最も高いウエイトを占めており、この2項目がP点全体に与える影響が最も大きいことがわかります。

記号 審査項目 ウエイト
X1 工事種類別年間平均完成工事高 25%
X2 自己資本額・利払前税引前償却前利益 15%
Y 経営状況 20%
Z 技術力 25%
W 社会性等 15%

4|X1(完成工事高)評点の仕組み

完成工事高の評価方法:

 X1は、審査を受ける業種ごとの年間平均完成工事高をもとに算出されます。評価期間は「2年平均」または「3年平均」から選択することができ、直近の実績が低い場合は複数年平均を選ぶことで評点を安定させる戦略が有効です。なお、2年平均・3年平均のいずれを選択するかは、申請するすべての業種で同一の方法によらなければならず、業種ごとに異なる基準を選択することはできない点に注意が必要です。


元請工事と下請工事の扱い:

 完成工事高には元請工事・下請工事の両方が含まれますが、元請完成工事高はZ点(技術力)の算出にも別途使用されるため、元請としての施工実績を積むことが全体のP点向上に二重の効果をもたらします。一人親方が公共工事への参入を目指す場合、早期に元請実績を積み上げることが長期的な戦略として重要です。


5|X2(財務状況)評点の仕組み

自己資本額の重要性:

 X2は、自己資本額と利払前税引前償却前利益(EBITDA)の2つの指標を組み合わせて評価します。自己資本額は貸借対照表上の純資産合計であり、長年にわたって利益を内部留保することで着実に積み上げることができます。創業間もない一人親方の場合、自己資本額が低くなりがちですが、毎年の利益をしっかり確保することで中長期的に改善が見込めます。


EBITDAの活用:

 EBITDAとは、税引前利益に支払利息・減価償却費を加算した収益力指標です。経審においてEBITDAがプラスであれば加点要素となり、収益力の高い経営体質がX2評点の向上につながります。節税を意識しすぎて利益を圧縮しすぎると、かえってX2評点が下がるリスクがあるため、決算対策は税務と経審の両面から検討することが大切です


X2評点 = {自己資本額の点数(X21)+平均利益額の点数(X22)}÷2

(評点の小数点以下の端数は、切捨て)


6|Y(経営状況)評点の仕組み

経営状況分析とは:

 Y点は、国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関が財務諸表をもとに算出する評点です。純支払利息比率・負債回転期間・総資本売上総利益率など、複数の財務指標を総合して評価されます。Y点の算出には別途申請手続きと手数料が必要であり、経審全体のプロセスの中でも最初に着手すべき手続きの一つです。


Y点を改善するためのポイント:

 Y点は財務諸表の内容に直結するため、借入金の圧縮・売上総利益率の向上・資産効率の改善などが有効な対策となります。特に負債が多い場合は純支払利息比率が悪化しやすいため、計画的な借入返済がY点の底上げに効果的です。決算前に税理士や行政書士と連携して財務状況を確認することをお勧めします。

7|Z(技術力)評点の仕組み

技術職員数の評価:

 Z点は、技術職員数と元請完成工事高の2つの要素から構成されます。技術職員の評価においては、保有資格の等級によって1人あたりの点数が異なり、一級国家資格者は二級国家資格者よりも高く評価されます。また、監理技術者資格者証を保有している場合や、CPD(継続職能開発)単位を取得している場合にも加点が認められます。


資格取得がP点に与える影響:

 一人親方自身が一級施工管理技士などの上位資格を取得することは、Z点を直接的に引き上げる最も効果的な手段の一つです。下表は代表的な資格と技術職員点数の目安を示したものです。

資格区分 技術職員点数(1人あたりの目安)
一級国家資格者(監理技術者資格者証あり)  6点
一級国家資格者  5点
二級国家資格者・その他  2点

8|W(社会性等)評点の仕組み

社会保険加入の影響:

 W点は、社会保険・労働保険への加入状況をはじめ、建設業退職金共済(建退共)への加入、労働福祉の充実度、法令遵守状況などを評価します。健康保険・厚生年金・雇用保険のすべてに適切に加入していることが、W点の基礎点として重要です。一人親方の場合は適用除外となるケースもありますが、法人化や従業員雇用を検討する際には必ず確認が必要です。


建退共・その他加点項目:

 建退共への加入はW点の加点要素となっており、加入しているだけで一定の点数が付与されます。また、建設業経理士(1級・2級)の資格保有者数や、ISOの認証取得なども加点対象となるため、比較的取り組みやすいW点向上策として積極的に活用したい項目です。


9|P点の有効期間と更新の注意点

審査基準日と有効期間:

 経審の結果(P点)には有効期間があり、審査基準日(通常は決算日)から1年7か月が有効期限となります。この期間を超えると、公共工事の入札参加資格が失効するおそれがあるため、毎決算後に速やかに経審を受審し、有効期間を途切れさせないことが重要です。


更新を怠った場合のリスク:

 有効期限が切れると入札参加資格が抹消・停止となり、進行中の公共工事案件にも影響が出る可能性があります。経審の申請から結果通知までには一定の期間を要するため、決算後できるだけ早く手続きを開始することを強くお勧めします。スケジュール管理の観点からも、行政書士などの専門家に早めに相談されることが得策です。


まとめ:P点の仕組みを理解し戦略的な経審対策を立てよう

 P点(総合評定値)は、X1・X2・Y・Z・Wの5つの審査項目をウエイト付きで合計した数値であり、公共工事の入札参加において業者の総合力を示す最重要指標です。各項目はそれぞれ異なる側面から建設業者を評価するため、一つの項目だけを突出させるよりも、バランスよく全項目を底上げする戦略P点向上に最も効果的です。特に一人親方がこれから公共工事への参入を目指す場合は、①資格取得によるZ点の強化、②社会保険・建退共加入によるW点の確保、③毎年の適切な決算管理によるX2・Y点の維持、を並行して進めることが近道となります。経審は複雑な手続きを伴いますので、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。