完成工事高の評価方法について解説!
経審の完成工事高評価は、2年平均と3年平均のどちらを選ぶかで評点が変わります。直近実績の伸びや変動幅に応じた選び方、元請完成工事高との関係、実務上の注意点を解説しています。

完成工事高の評価方法について解説!

1|X1評点(完成工事高)の基本的な仕組み

X1評点とは何か:

 X1評点とは、経営事項審査(経審)において、許可を受けた建設業の種類ごとの年間平均完成工事高を数値化したものです。P点(総合評定値)を構成する5つの審査項目のうち、ウエイトが25%と最も高い項目の一つであり、P点全体に与える影響が非常に大きい評価項目です。


完成工事高の範囲:

 X1評点の算出に用いる完成工事高には、元請工事・下請工事の両方が含まれます。民間工事・公共工事の区別も問わず、許可を受けた業種に係る完成工事高をすべて合算した金額が評価対象となります。ただし、許可を受けていない業種の完成工事高や、経審を受けない業種の完成工事高については「その他工事」として計上し、X1評点の対象にはなりません。


2|2年平均・3年平均の仕組みと選択ルール

平均年数の選択方法:

 X1評点の算出においては、直前2年平均または直前3年平均のいずれかを選択することができます。どちらの方法を採用するかによって、評点に大きな差が生じる場合があります。なお、この選択は申請時に毎回変更することが可能であり、前回2年平均を選んだからといって今回も同じ方法にしなければならないという縛りはありません。


全業種で同一の方法を適用するルール:

 重要な注意点として、2年平均・3年平均の選択は、申請するすべての業種で同一の方法によらなければなりません。たとえば、「土木一式工事は2年平均、舗装工事は3年平均」というように業種ごとに異なる基準を選択することは認められていません。また、完成工事高(X1)と元請完成工事高(Z2)の算出方法も同一でなければならないため、「完成工事高は2年平均、元請完成工事高は3年平均」という選択も不可です。複数業種で申請する場合は、すべての業種・項目を考慮したうえで、どちらの方法が全体として有利かを慎重に判断する必要があります。


3|2年平均が有利になるケース

直近の売上が大きく伸びている場合:

 直近1年間の完成工事高が、その前の年と比較して大幅に増加している場合は、2年平均を選択する方が高い評点を得やすくなります。2年平均では直近2年分のデータのみを使用するため、好調な直近実績がより強く反映されます。たとえば、元請工事の受注が増えた年や、大型案件を複数完成させた年の翌年に申請する場合には、2年平均が有効な選択肢となります。


業績が右肩上がりで推移している場合:

 事業拡大の途上にあり、毎年完成工事高が増加しているような事業者にとっては、古い年度のデータを含む3年平均よりも、直近の好実績を反映しやすい2年平均の方が有利に働くケースが多いと言えます。一人親方として独立後に順調に受注を伸ばしてきた場合などは、このパターンに該当することが多いでしょう。

4|3年平均が有利になるケース

直近の売上が落ち込んでいる場合:

 直近1年間の完成工事高が、過去の実績と比べて大きく減少している場合は、3年平均を選択することで評点の急落を緩和できます。3年平均では過去3年分のデータを均等に扱うため、直近の不調な実績の影響が薄まり、安定した評点を維持しやすくなります。工事の端境期や受注の谷間に当たる年度に決算を迎えた場合に有効な選択肢です。


実績が年によって大きく変動する場合:

 受注量が年によって大きく波がある事業者にとっては、3年平均の方がリスクヘッジとして機能します。平均化によって評点の安定性が高まるため、毎年の入札参加資格において安定したランクを維持したい場合には3年平均を基本戦略とすることも合理的です。

5|2年平均・3年平均の比較まとめ

どちらが有利かを判断するための比較:

 2年平均と3年平均のどちらが有利かは、事業者ごとの完成工事高の推移によって異なります。下表は、それぞれの選択が有利となる典型的な状況を整理したものです。

比較項目 2年平均 3年平均
使用するデータ  直前2年分 直前3年分
有利な状況  直近実績が高い・右肩上がり 直近実績が低い・年による変動が大きい
不利な状況  直近実績が低い 直近実績が高く過去が低い
評点の安定性  変動しやすい 安定しやすい
毎年の変更  可能 可能


実際の判断手順:

 どちらの平均方法が有利かを正確に判断するためには、直前3年分の完成工事高の実数値をもとに両方のパターンで評点を試算し、比較することが最も確実な方法です。申請前に行政書士などの専門家に相談し、試算を依頼することをお勧めします。なお、選択を誤って申請した場合でも、原則として申請後の変更は認められませんので、事前の検討が非常に重要です。

6|完成工事高と他の審査項目との関連

Z点(元請完成工事高)との連動:

 完成工事高の平均年数の選択は、X1評点だけでなくZ点(技術力)を構成する元請完成工事高の評点(Z2)にも同時に適用されます。X1とZ2は同一の平均方法を使用しなければならないため、元請工事の実績状況も含めて総合的に有利な方を判断する必要があります。元請完成工事高が直近に大きく伸びている場合は、X1・Z2ともに2年平均が有利となる可能性が高く、P点全体への効果がより大きくなります。


複数業種申請時の注意点:

 複数の業種で経審を受ける場合、業種ごとに完成工事高の推移が異なることがあります。しかし前述のとおり、すべての業種に同一の平均方法を適用しなければならないため、特定の業種だけに着目して選択すると、他の業種では不利な結果となることもあります。主力業種のX1評点を最大化できる方法を軸に、全業種のバランスを考慮した判断が求められます。


7|一人親方が意識すべき実務上のポイント

決算タイミングと完成工事高の関係:

 X1評点の審査基準日は決算日であるため、決算期をいつに設定するかが完成工事高の評点に影響を与えます。大型案件の完成時期と決算日が重なるように日程を調整することで、直近の完成工事高を最大化できる場合があります。ただし、決算期の変更には様々な手続きが伴うため、税理士や行政書士と連携して慎重に検討することが大切です。


工事実績の正確な記録と管理:

 完成工事高を正確に申告するためには、工事ごとの契約書・注文書・入金記録などを適切に保管・管理しておくことが不可欠です。経審の審査においては、完成工事高の裏付けとなる資料の提示が求められることがあります。日頃から工事台帳や入金記録を整備しておくことが、スムーズな経審申請につながります。


まとめ:完成工事高の平均方法は事前試算で最適な選択を

 X1評点(完成工事高)は、P点全体に対して25%のウエイトを持つ最重要項目のひとつです。2年平均・3年平均のどちらが有利かは、直前3年間の完成工事高の推移によって異なり、直近実績が高ければ2年平均、低ければ3年平均が有利となる傾向があります。ただし、選択した平均方法はすべての申請業種および元請完成工事高にも同時に適用されるため、一つの業種だけを見て判断することは危険です。申請前に必ず両パターンの評点を試算し、全体最適の観点から選択することが重要です。専門的な判断が必要な場面も多いため、ぜひ行政書士にご相談ください。