建設業許可の業種を追加、経審の受け直しの要否を解説!
建設業許可の業種を追加しても、既存の経審が直ちに無効になるわけではありません。ただし、追加業種で公共工事を受注するには、追加業種を含めた経審の受け直しが必要な点を解説しています。

建設業許可の業種を追加、経審の受け直しの要否を解説!

1|結論:追加業種で公共工事を受注するなら再受審が必要

業種追加と経審の関係:

 結論から申し上げると、建設業許可の業種を追加した場合、追加した業種を公共工事で受注したいのであれば、追加業種を含めた経審を新たに受審する必要があります経審は許可を受けている業種ごとに審査が行われるものであり、新たに追加した業種については、追加前の経審結果に自動的に反映されることはありません。


追加業種を公共工事で受注しない場合:

 一方で、追加した業種を民間工事のみで使用し、公共工事での受注を予定していない場合には、その業種について経審を受審する必要はありません。経審の受審義務は、あくまで「公共工事を直接請け負おうとする業種」に限定されます。追加業種の活用目的を明確にしたうえで、受審の要否を判断することが重要です。


2|経審における業種別審査の仕組み

業種ごとに評価される項目:

 経審では、建設業の許可業種ごとに審査が行われます。具体的には、完成工事高(業種別の売上実績)は業種ごとに評価されます。技術職員数についても、保有資格が対応している業種の範囲内でカウントされる業種が決まる仕組みとなっており、業種ごとのP点に影響します。資格の等級(1級・2級)の違いによってカウントされる業種数や点数の重みが異なるため、在籍する技術職員の資格・等級の構成が経審の評価に直結します。これらの数値は業種追加によって変動するため、新たに許可を取得した業種については、その業種に対応した実績の積み上げと、技術者の資格・経験の整備を進めることが重要です。


全業種を一括して申請する仕組み:

 経審の申請は、許可を受けているすべての業種について一括して行うものです。業種を追加した後に経審を受審する際は、既存業種と追加業種をまとめて申請することになります。追加業種だけを単独で申請することはできないため、業種追加のタイミングと次回の経審申請スケジュールを合わせて検討することが重要です。

3|業種追加の手続きの流れ

業種追加申請の手順:

 建設業許可の業種追加は、許可行政庁(都道府県知事または国土交通大臣)への申請によって行います。業種追加の許可が下りた後、次回の経審申請時に追加業種を含めた申請を行う流れとなります。業種追加の申請から許可取得までには一定の期間がかかるため、公共工事での受注を急いでいる場合は、早めに手続きを開始することが大切です。


経審申請までの全体スケジュール:

 業種追加から実際に公共工事を受注できるようになるまでには、複数のステップが必要です。おおまかな流れは以下のとおりです。

ステップ 内容 目安期間
① 業種追加申請  許可行政庁への申請・許可取得 1〜2か月程度
② 決算・財務諸表作成  追加業種を含む決算の確定 決算日まで待機
③ 経審申請  追加業種を含む全業種での受審 申請後1〜3か月程度
④ 入札参加資格申請  各発注機関への資格申請・登録 機関ごとに異なる
⑤ 公共工事の受注  入札参加・落札・契約締結

4|追加業種が経審結果に反映されるタイミング

完成工事高の反映について:

 業種を追加したとしても、その業種での完成工事高が経審に反映されるのは、追加後に実際に工事を完成させた実績が決算に計上されてからとなります。つまり、業種を追加しただけでは完成工事高はゼロのままであり、追加直後の経審ではその業種の評価が低くなる可能性があります。公共工事の受注を目指すうえでは、早期に民間工事等での実績を積むことも重要な戦略となります。


技術職員の反映について:

 追加業種に対応した技術職員(国家資格保有者や実務経験者)が在籍していることも、経審の評価に直結します。業種追加の際には、その業種の専任技術者の要件を満たす人材が必要ですが、経審においてもその技術者が評価対象となります。在籍する技術職員の資格・経験を整理し、経審での評価向上につなげることを意識しましょう。


5|既存業種の経審結果への影響

既存業種の有効期限は変わらない:

 業種を追加した場合でも、既存業種についての現在の経審結果通知書の有効期限は変わりません。業種追加によって既存の経審結果が無効になるわけではないため、現在進行中の公共工事の受注活動には影響が生じません。追加業種の経審結果が出るまでの間は、既存業種での公共工事受注を継続することができます。


次回経審での統合申請:

 次回の経審申請からは、既存業種と追加業種をまとめて申請することになります。すべての業種を一括して審査してもらうことで、総合評定値(P点)が業種ごとに算出され、各業種の入札参加資格申請に活用できるようになります。業種ごとのP点の違いを理解したうえで、どの業種で公共工事を狙うかを戦略的に考えることが重要です。


6|業種追加と入札参加資格申請の関係

入札参加資格の登録も業種ごとに必要:

 経審を受審して追加業種の結果通知書を取得した後は、各発注機関への入札参加資格申請も追加業種について改めて行う必要があります。すでに既存業種で入札参加資格を登録していても、追加業種については別途申請が必要であり、登録が完了して初めてその業種での入札に参加できるようになります。


発注機関ごとの申請受付時期に注意:

 入札参加資格の申請受付時期は、発注機関ごとに定められています。多くの自治体では年に1回または2年に1回の定期申請のほか、随時申請を受け付けている場合もあります。追加業種での入札参加を希望する発注機関の申請スケジュールを事前に確認し経審の受審タイミングと合わせて計画的に準備を進めることが大切です。

7|業種追加を検討する際の注意点

専任技術者の確保が前提:

 業種追加の申請には、追加する業種に対応した専任技術者を営業所ごとに配置することが必須要件となります。専任技術者は、国家資格の保有または一定の実務経験によって要件を満たす必要があります。人材の確保・育成には時間がかかる場合もあるため、業種追加を計画している場合は早めに専任技術者の要件確認と人材準備を進めることをおすすめします。


経審のスコアアップを見据えた業種選択:

 業種追加にあたっては、単に許可業種を増やすだけでなく、経審のスコア(P点)向上につながる業種を戦略的に選ぶことも重要な視点です。自社の技術者構成や過去の工事実績を踏まえ、評価が高くなりやすい業種を追加することで、競争力のある経審結果を得ることが期待できます。業種選択に迷う場合は、行政書士などの専門家にご相談ください。


まとめ:業種追加後は速やかに経審の受審計画を立てよう

 建設業許可の業種を追加した場合、追加業種で公共工事を受注するためには、追加業種を含めた経審を新たに受審することが必須です。業種追加の許可取得から経審受審・入札参加資格申請まで、複数のステップと一定の期間が必要となるため、公共工事への参入時期を逆算して計画的にスケジュールを組むことが重要です。専任技術者の確保・工事実績の積み上げ・経審申請のタイミングをトータルで管理するためにも、建設業許可・経審に精通した行政書士への早めの相談をおすすめします。