電気工事業を始める際の手続きを解説!
電気工事業を始める際に必要となる登録・通知・届出の違いや、登録電気工事業者となるための要件、主任電気工事士や備付器具の準備、申請先や更新管理まで解説しています。

電気工事業を始める際の手続きを解説!

電気工事業を始める前に知っておくべきこと

 電気工事業を開業するにあたっては、「電気工事業法」に基づく所定の手続きを完了させることが法律上の義務となっています。この手続きを怠った状態で電気工事を請け負った場合、罰則の対象となるため、開業前に必ず正しい手続きを理解しておくことが重要です。電気工事業法上の手続きには「登録」「通知」「届出」の3種類があり、事業者の状況によって必要な手続きが異なります。また、電気工事の対象となる電気工作物の種類によっても、適用される区分が変わってきます。本稿では、これから独立開業を目指す電気工事の職人の方に向けて、手続きの全体像をわかりやすく整理します。


電気工作物の種類を理解する

 手続きの区分を正しく理解するためには、まず「一般用電気工作物等」と「自家用電気工作物」の違いを把握することが必要です。


 一般用電気工作物等とは、一般住宅・コンビニエンスストア・小規模な店舗といった、主に600V以下で受電する施設の屋内配線設備等を指します。家庭の電灯配線やコンセントの設置工事が典型的な例です。


 一方、自家用電気工作物とは、オフィスビルや工場などに設置される受電設備・構内電線路・負荷設備等を指し、最大電力500kW未満の需要設備が対象となります。ビルの高圧受電設備の工事などがこれに該当します。


 どちらの工事を行うかによって、必要な手続きの区分が異なるため、自分が請け負う工事の内容を事前にしっかり確認しておくことが求められます。


電気工事業者の4つの区分

 電気工事業法上、電気工事業者は大きく4つの区分に分類されます。それぞれの区分は、請け負う工事の種類」と建設業許可の有無」によって決まります。以下の表を参考に、自分がどの区分に該当するかを確認してください。

工事の対象 建設業許可の有無 事業者の区分 必要な手続き

一般用電気工作物等のみ、
または一般用自家用の両方

なし 登録電気工事業者 登録
あり みなし登録電気工事業者 届出
自家用電気工作物のみ なし 通知電気工事業者 通知
あり みなし通知電気工事業者 通知

 独立開業したばかりで建設業許可を持っていない場合、一般住宅や小規模店舗の工事を行うのであれば「登録電気工事業者」として「登録」の手続きが必要となります。

「登録」が必要な事業者の要件

 建設業許可を持たずに一般用電気工作物等の工事を行う場合は、「登録電気工事業者」としての登録が必要です。登録にあたっては、主に次の2つの要件を満たす必要があります。


 第一の要件は、「主任電気工事士の配置」です。主任電気工事士になるためには、第1種電気工事士の資格を持っているか、または第2種電気工事士の免状交付後に登録電気工事業者(みなし登録電気工事業者)のもとで3年以上の実務経験を積んでいることが必要です。一人親方として独立する場合は、本人が主任電気工事士の要件を満たしていれば、自らがその役割を担うことができます。


 第二の要件は、「法定備付器具の配備」です。営業所ごとに、法律で定められた測定器具を備えておく必要があります(電気工事業法第24条電気工事業法施行規則11条)。一般用電気工作物のみを扱う場合は絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計の3種類が必要です。一般用と自家用の両方を扱う場合は、これらに加えて低圧検電器・高圧検電器・継電器試験装置・絶縁耐力試験装置の計7種類が必要となります。なお、継電器試験装置および絶縁耐力試験装置については、必ずしも購入する必要はなく、必要なときに使用できる賃貸契約を締結していることで要件を満たすことができます。


「みなし登録」とは何か

 「みなし登録電気工事業者」とは、建設業法上の建設業許可を受けた建設業者が、一般用電気工作物等に係る電気工事業を営むにあたり、所定の開始届出を行うことで、電気工事業法上の登録を受けた者とみなされる取扱いです。したがって、「登録不要=何もしなくてよい」という意味ではありません。電気工事業を開始する際には、管轄行政庁に開始届出を遅滞なく提出する必要があります。


 なお、この特例の前提となる建設業許可は、必ずしも「電気工事業」の許可に限られません。したがって、電気工事業の登録を受けていた事業者が、新たに「とび・土工・コンクリート工事業」などの建設業許可を取得した場合でも、みなし登録に関する届出が必要となることがあります(電気工事業法第34条規則第24条建設業法第2条第3項)。
 ただし、これは電気工事業法上の登録の扱いの話であり、建設業法上、一定規模以上の電気工事を請け負うために電気工事業の建設業許可(請負代金500万円以上)が必要かどうかは別途確認が必要です。


申請先はどこになるか

 電気工事業の登録申請先は、「営業所の所在地」によって異なります。以下の表を参照してください。

営業所の状況 申請先
1つの都道府県内のみに営業所がある場合  各都道府県知事
2つ以上の都道府県に営業所がある場合  産業保安監督部または経済産業大臣

 注意すべき点は、申請先の判断基準はあくまで「営業所の所在地」であり、工事を施工する地域ではないということです。たとえば、自社の営業所が1つの都道府県内にあれば、実際に複数の都道府県にまたがって工事を行っていても、都道府県知事への申請で足ります。


 また、ここでいう「営業所」とは、電気工事の施工管理(測定器具や図面類の管理など)を実際に行う拠点のことを指します。契約の締結や経営の管理のみを行う事務所は、ここでいう「営業所」には該当しません(経産省近畿支部)。

登録申請に必要な主な書類

 登録電気工事業者として申請を行う際には、以下の書類を準備する必要があります。書類の様式や提出方法は都道府県によって異なる場合があるため、事前に管轄窓口に確認することをお勧めします。

  • 登録電気工事業者登録申請書
  • 誓約書
  • 主任電気工事士の電気工事士免状の写し
  • 法人登記事項証明書(申請者が法人の場合)
  • 主任電気工事士等実務経験証明書(第2種電気工事士が主任となる場合)
  • 主任電気工事士の雇用証明書(主任電気工事士が雇用されている場合)
  • 備付器具調書
  • 住民票抄本(申請者が個人の場合)または登記事項証明書(法人の場合)
  • 営業所の位置図

鹿児島県では、備付器具調書や住民票抄本(申請者が個人の場合)、営業所の位置図の添付は求めていない(R8.3.24現在)。


登録後の維持管理について

 電気工事業の登録には「有効期間」があり、登録電気工事業者の場合は5年ごとに更新手続きが必要です。更新を失念した場合は登録の効力を失い、電気工事業を継続できなくなるため、期限管理を徹底することが重要です。一般的には有効期間満了の1か月前までに更新の申請を行う必要があります。


 また、登録後に商号・代表者・営業所の所在地・主任電気工事士など登録事項に変更が生じた場合は、原則として30日以内」に変更届を提出することが義務付けられています。変更の届出を怠ることも法令違反となりますので、登録後の維持管理においても十分な注意が必要です。


まとめ

 電気工事業を開業するにあたり必要な手続きは、自分が行う工事の内容と建設業許可の有無によって、「登録」「通知」「届出」の3種類に分かれます。
 特に建設業許可を持たずに一般住宅等の電気工事から始める場合は「登録電気工事業者」としての登録が必要となり、主任電気工事士の配置や法定備付器具の準備といった要件を事前に整えておくことが求められます。
 手続きの種類を誤ったり、届出を怠ったりすることは法令違反に直結します。開業前に専門家である行政書士へ相談し、自社の状況に合った正確な手続きを踏むことが、安心して事業をスタートさせるための最短ルートです