通知電気工事業者について解説!
通知電気工事業者とは、建設業許可なしで自家用電気工作物のみを扱う事業者です。登録との違いや通知期限、必要資格、備付器具、通知後に求められる継続的な義務を解説しています。

通知電気工事業者について解説!

「通知電気工事業者」の定義と位置づけ

 「通知電気工事業者」とは、建設業許可を持たずに「自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)のみ」に係る電気工事業を営む事業者のことを指します。電気工事業法第17条の2第1項に基づき、経済産業大臣または都道府県知事に対して「事業開始の通知」を行うことで、電気工事業を適法に営むことができます。電気工事業法上の手続きには「登録」「通知」「届出」の3種類がありますが、その中で「通知」は一般住宅等の工事を一切行わず、工場・ビル・病院といった施設の電気設備工事に特化した事業者に適用される手続きです。登録」と比べて手続きのハードルが低い点が特徴ですが、一定の義務は共通して課されます。


「自家用電気工作物」とは何か

 「通知電気工事業者」の区分を正確に理解するためには、まず「自家用電気工作物」の定義を把握しておく必要があります。自家用電気工作物とは、電気事業法に規定する自家用電気工作物のうち、「最大電力500kW未満の需要設備」を指します(電気工事士法第2条第2項)。具体的には、中小規模のオフィスビル・工場・病院・商業施設などに設置される受電設備・構内電線路・負荷設備等がこれに該当します。電力会社から600Vを超える高圧で受電する施設が主な対象です


 一方、一般住宅やコンビニエンスストアなどの600V以下で受電する施設の屋内配線設備等は「一般用電気工作物等」に分類されます。通知電気工事業者はこの一般用電気工作物等の工事を一切行わないことが前提であり、もし一般住宅等の工事も請け負う場合は「通知」ではなく「登録」の手続きが必要となります。


4つの事業者区分における「通知電気工事業者」の位置づけ

 電気工事業者は法律上4つの区分に分類されます。「通知電気工事業者」がその中でどの位置づけにあるかを以下の表で確認してください。

工事の対象 建設業許可の有無 事業者の区分 必要な手続き

一般用電気工作物等のみ、
または一般用自家用の両方

なし 登録電気工事業者 登録
あり みなし登録電気工事業者 届出
自家用電気工作物のみ なし 通知電気工事業者 通知
あり みなし通知電気工事業者 通知

 この表からもわかるとおり、「通知電気工事業者」は「自家用電気工作物のみ×建設業許可なし」という条件に該当する事業者です。建設業許可を取得しており自家用電気工作物のみの工事を行う場合は「みなし通知電気工事業者」という別の区分となります。

「通知電気工事業者」と「登録電気工事業者」の主な違い

 「通知」と「登録」の最大の違いは、「主任電気工事士の設置義務の有無」です。登録電気工事業者には営業所ごとに主任電気工事士を配置することが義務付けられていますが(電気工事業法第19条)、通知電気工事業者にはこの義務がありません。ただし、自家用電気工作物の工事に従事できる資格者の配置は別途求められます(電気工事業法第21条)。

比較項目 登録電気工事業者 通知電気工事業者
対象工事  一般用のみ、または一般用+自家用 自家用電気工作物のみ
建設業許可  不要 不要
主任電気工事士の設置  必要 不要
法定備付器具  3種類(一般用のみの場合) 7種類
申請手数料  22,000円 なし
有効期間・更新  5年ごとに更新が必要 更新制度なし
通知の期間  事業開始10日前までに通知

 主任電気工事士が不要である点は「通知」のハードルが低い理由のひとつですが、その代わりに必要な法定備付器具が7種類と「登録」(一般用のみの場合は3種類)より多くなっています。

通知手続きの具体的な方法

 「通知電気工事業者」として事業を開始するためには、「事業を開始しようとする日の10日前まで」に所定の通知手続きを完了させる必要があります(電気工事業法第17条の2)。これは「登録」の申請とは異なり、審査・認可を経る手続きではなく行政への事前通知という性格を持つものですが、手続きを怠った場合は罰則の対象となります。


 通知の提出先は「営業所の所在地」によって決まります。営業所が1つの都道府県内にのみある場合は「都道府県知事」、2つ以上の都道府県にまたがる場合は「産業保安監督部または経済産業大臣」への通知となります。


 通知に必要な主な書類は以下のとおりです。

  • 電気工事業者開始通知書(様式第14の2)
  • 誓約書(通知者自身のもの)
  • 登記事項証明書(通知者が法人の場合)

 「登録」と比較すると必要書類が少なく、手続き自体はシンプルです。ただし、都道府県によって追加書類が求められる場合もあるため、事前に管轄窓口へ確認することをお勧めします。


自家用電気工作物の工事に必要な資格者

 通知電気工事業者には主任電気工事士の設置義務はありませんが、自家用電気工作物の電気工事に実際に従事できる資格者の配置は別途求められます(電気工事業法第21条)。自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)の工事に従事できるのは、原則として「第1種電気工事士」の免状を有する者です。なお、「認定電気工事従事者」については、自家用電気工作物のうち「簡易電気工事(電圧600V以下で使用する電線路以外の電気工作物の工事)」の作業に限って従事することが認められています。第2種電気工事士のみの資格では自家用電気工作物の工事には原則として従事できないため、注意が必要です。


通知電気工事業者が備えるべき法定器具

 通知電気工事業者は、自家用電気工作物の工事を行う性質上、「登録電気工事業者」より多い器具を営業所ごとに備えることが義務付けられています。必要な7種類の器具は以下のとおりです。

  1. 絶縁抵抗計
  2. 接地抵抗計
  3. 回路計(抵抗及び交流電圧を測定できるもの)
  4. 低圧検電器
  5. 高圧検電器
  6. 継電器試験装置
  7. 絶縁耐力試験装置

 なお、継電器試験装置および絶縁耐力試験装置については、必ずしも購入する必要はなく、「必要な時に使用できる措置が講じられているもの」(賃貸借契約の締結など)でも要件を満たすことができます。

通知後に課される継続的な義務

 通知手続きを完了した後も、通知電気工事業者には電気工事業法上の以下の義務が継続的に課されます。これらを怠ると罰則の対象となるため、事業開始後の維持管理においても十分な注意が必要です。第一に「電気工事士等でない者を工事に従事させることの禁止」であり、第1種電気工事士または認定電気工事従事者(簡易電気工事に限る)でない者を自家用電気工作物の工事作業に従事させることは禁じられています。第二に「法定備付器具の配備」であり、前述の7種類の器具を営業所ごとに常時備えることが義務付けられています。第三に「標識の掲示」であり、営業所および工事の施工場所ごとに、氏名・名称・通知番号等の所定事項を記載した標識を見やすい場所に掲げなければなりません。第四に「帳簿の備付け・保存」であり、営業所ごとに帳簿を備え、注文者の氏名・電気工事の種類・施工場所・施工年月日・作業者の氏名・配線図・検査結果等を記載し、5年間保存する義務があります。


「通知」手続きを怠った場合の罰則

 通知を行わずに自家用電気工作物のみの電気工事業を営んだ場合、電気工事業法上の罰則として「2万円以下の罰金」が科されます。また、通知後に事業者の名称・所在地・営業所の情報等に変更が生じた場合も、速やかに変更の通知を行う必要があり、これを怠った場合も罰則の対象となります。さらに、近年は元請業者によるコンプライアンスチェックが厳格化しており、適法な通知手続きを行っていない事業者は現場への入場を断られるリスクも高まっています。


まとめ

 「通知電気工事業者」とは、建設業許可を持たずに自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)のみの電気工事業を営む事業者であり、事業開始の10日前までに所定の通知手続きを完了させることが義務付けられています。主任電気工事士の設置義務がない点で「登録」よりもハードルが低い一方、法定備付器具は7種類と「登録」より多く、従事できる資格者も原則として第1種電気工事士に限られます。また、「たまに一般住宅の工事も受ける可能性がある」場合は「通知」ではなく「登録」の手続きが必要となるため、将来の事業展開を見据えたうえで自社に適した区分を判断することが重要です。手続きの区分や要件に不明な点がある場合は、専門の行政書士にご相談されることをお勧めします