宅建業免許に関する手続きは、定期的に行うものと、事由が生じた都度行うものに大別されます。定期的なものの代表は「免許更新申請」であり、随時のものとしては「変更届」「案内所等の届出」「廃業届」などがあります。
建設業許可では毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届(事業年度終了届)」の提出が義務付けられていますが、宅建業には事業年度終了に伴う定期報告書の提出義務はありません。両許認可を併有している場合、混同しないよう注意が必要です。
代表的な手続きを一覧化すると次のとおりです。
宅建業免許の有効期間は5年であり、引き続き宅建業を営むためには更新申請が必要です。更新を怠ると免許は失効し、その後の営業は無免許営業となるため、最も重要な定期手続きといえます。
更新申請は、免許満了日の90日前から30日前までに行う必要があります。30日前を過ぎても受け付けてもらえる場合がありますが、満了日までに更新手続きが完了しない場合、いったん免許が失効するリスクがあります。
更新申請手数料は、知事免許・大臣免許いずれも33,000円です(知事免許は都道府県収入証紙、大臣免許は収入印紙で納付)。
宅建業者名簿の登載事項に変更があった場合、変更後30日以内に免許権者に変更届を提出する必要があります。届出を怠ると、行政指導や監督処分の対象となるおそれがあります。
主な変更届対象は次のとおりです。
| 変更事項 | 具体例 |
|---|---|
| 商号または名称 | 商号変更、社名変更 |
| 役員(法人) | 代表者・取締役・監査役の就任・退任 |
| 政令使用人 | 事務所代表者の交代 |
| 事務所所在地 | 本店・支店の移転、新設、廃止 |
| 専任の宅地建物取引士 | 専任宅建士の就任・退任、専任宅建士の氏名変更 |
同一都道府県内での事務所移転は「変更届」で対応します。一方、他の都道府県への事務所の新設・移転により免許区分が変わる場合は「免許換え」が必要となり、別の手続きとなります。
事務所ごとに業務に従事する者5名に1名以上の専任の宅地建物取引士を設置する必要があり、退職等で人数不足となった場合は2週間以内に補充措置を講じる義務があります。補充後は変更届の提出も必要です。
事務所以外の場所で、10区画以上の一団の宅地または10戸以上の一団の建物の分譲を行うために案内所等を設置し、当該案内所で契約締結または契約の申込みの受領を行う場合、業務開始日の10日前までに免許権者および案内所所在地を管轄する都道府県知事に届け出る必要があります(宅建業法施行規則第19条)。
事務所以外の場所で分譲マンション・建売住宅等の継続的な案内所を設置して契約・申込みを受ける場合、業務開始日の10日前までに免許権者および案内所所在地を管轄する都道府県知事に届け出る必要があります。
新築マンションのモデルルーム、建売住宅の現地案内所、不動産フェア・住宅展示会で売買契約を行う場合などが該当します。短期間の単なる物件案内のみで契約行為を行わない場合は、届出は不要です。
案内所等で売買契約・申込みを受ける場合は、1名以上の専任の宅地建物取引士を配置する必要があります。届出書には専任宅建士の氏名等を記載することが求められます。
提出義務ではありませんが、宅建業者には事務所ごとに次の書類等の備え付け・掲示が義務付けられています。立入検査の対象となるため、整備状況を継続的に管理することが重要です。
主な備え付け・掲示事項は次のとおりです。
| 書類等 | 内容 |
|---|---|
| 宅地建物取引業者票(標識) | 免許番号、商号、専任宅建士名等を記載した標識の掲示 |
| 報酬額表 | 国土交通大臣が定める報酬額の上限を掲示 |
| 従業者名簿 | 従業者の氏名、従業者証明書番号等を記載(最終記載日から10年間保存) |
| 業務に関する帳簿 | 取引のつど、年月日・物件・取引態様等を記載(各事業年度末日から5年間、自ら売主の新築住宅は10年間保存) |
| 従業者証明書 | 従業者に携帯させる |
宅建業を廃止した場合、合併消滅した場合、代表者が死亡した場合などには、事由発生後30日以内(死亡の場合は知った日から30日以内)に廃業等届出書を提出する必要があります。
廃業届の対象となる主な事由は次のとおりです。
| 事由 | 届出義務者 |
|---|---|
| 個人事業主の死亡 | 相続人 |
| 法人の合併消滅 | 消滅した法人の代表者 |
| 破産手続開始決定 | 破産管財人 |
| 法人の解散(合併・破産以外) | 清算人 |
| 宅建業の廃止 | 個人または法人の代表者 |
個人事業主から法人成りをする場合、個人としての廃業届を提出する必要があります。法人としての新規免許申請とあわせて、計画的に進めることが重要です。
保証協会に加入している場合、協会への会費納付や、研修受講などの継続的な義務があります。協会ごとに細則が異なるため、加入協会の規程を確認することが重要です。
宅地建物取引士証は5年ごとの更新が必要であり、専任宅建士本人が法定講習を受講して更新する必要があります。法人としての免許更新とは別の手続きであり、宅建士本人による対応が必要です。
複数の届出期限を確実に管理し、行政指導や監督処分のリスクを回避するためには、許認可に精通した行政書士に継続的にサポートを依頼することが有効です。免許更新、変更届、案内所等の届出など、必要なタイミングで漏れなく対応できる体制を整えることをおすすめいたします。
宅建業免許取得後の行政手続きで最も重要なのは、5年ごとの免許更新申請です。これに加えて、宅建業者名簿登載事項に変更が生じた場合の変更届(30日以内)、案内所等を設置する場合の事前届出(業務開始10日前まで)、廃業時の廃業届(30日以内)といった随時手続きが用意されています。なお、宅建業には建設業のような決算変更届(事業年度終了届)の制度はありません。各種期限を確実に管理し、適正な業務運営を継続するためにも、許認可に精通した行政書士へ早期にご相談いただくことをおすすめいたします。