申請時に必要な書類(専任の宅建士)を解説!
宅建業免許申請では、専任の宅建士について設置証明書や略歴書、宅建士証の写しなどの提出が必要です。令和6年改正で不要になった書類や、役員兼任時の注意点まで解説しています。

申請時に必要な書類(専任の宅建士)を解説!

専任の宅地建物取引士に係る申請書類:全体像と各書類の役割

 宅建業免許の申請において、専任の宅地建物取引士(以下「専任の宅建士」)に関する書類は、申請書類全体のなかでも特に確認が厳しい領域です。「宅建士証を持っていれば誰でも専任になれる」という誤解も多く、実際には複数の書類を組み合わせて提出し、常勤性・専従性・欠格事由非該当の3点を行政庁に対して証明することが求められます。また、令和6年5月25日施行の規則改正により一部書類が不要になった点も、正確に把握しておく必要があります。本稿では、専任の宅建士に係る申請書類の全体像を整理し、各書類の目的・記載内容・注意点を詳しく解説します。


令和6年5月25日改正の要点:不要になった書類

 まず、最近の重要な法令改正を確認しておきます。令和6年5月25日に施行された宅地建物取引業法施行規則の一部改正により、宅建業免許の新規申請・更新申請・変更届において、専任の宅建士に係る「身分証明書」および「登記されていないことの証明書」の提出が不要となりました。


 ただし、この免除はあくまで「専任の宅建士」としての立場のみに適用されます。専任の宅建士が法人の役員(取締役・監査役等)を兼ねている場合は、役員の立場で両書類の提出が引き続き必要です。個人申請の代表者、法人役員、政令で定める使用人については従来どおり提出が必要であるため、対象者の立場を正確に確認することが不可欠です。

申請者の立場 身分証明書 登記されていないことの証明書
専任宅建士(役員兼任なし)  不要(R6.5.25以降) 不要(R6.5.25以降)
専任宅建士(役員兼任あり)  必要(役員として) 必要(役員として)
個人申請者・法人役員・政令使用人  必要 必要

① 専任の宅地建物取引士設置証明書(添付書類③)

 専任の宅建士に関する書類のなかで最も中心的な位置を占めるのが、この専任の宅地建物取引士設置証明書です。宅建業法第31条の3第1項に基づき、事務所ごとに従業者5名に対して1名以上の割合で専任宅建士を設置していることを証明する書面です。


 記載内容は、事務所の名称・所在地、設置している専任の宅建士の数、宅建業に従事する者の総数(従業者数)です。専任の宅建士と従業者数の設置数が法定の比率(5名に1名以上)を満たしているかどうかが審査で確認されます。例えば、従業者が1名(本人1人の場合)であれば専任の宅建士1名の設置で足り、従業者が6名であれば専任の宅建士2名が必要となります。


② 略歴書(添付書類(8):専任の宅地建物取引士等用)

 専任の宅建士(役員を兼ねていない場合)が提出する略歴書は、添付書類(3)とは別に、添付書類(8)として定められた専用様式を使用します。役員・政令使用人が使用する「添付書類(3)(略歴書)」とは様式が異なるため、混同しないよう注意が必要です。


 両略歴書の主な相違点は次のとおりです。

比較項目 添付書類(3)(役員・政令使用人用) 添付書類(8)(専任宅建士用)
記載対象者  代表取締役・取締役・監査役・政令使用人等 専任宅建士(役員兼任でない場合)・相談役・顧問・法定代理人
住所・電話番号欄  なし(別途「添付書類(9)」で報告) あり(様式内に記入欄がある)
生年月日欄  なし(令和7年4月改正で削除) あり
宅建士登録番号欄  宅建士の場合は登録番号を記入 宅建士の場合は登録番号を記入

 略歴書に記載する職歴は、最終学歴の卒業後から現在に至るまでの全職歴を記入することが求められます。不動産業界の経歴だけでなく、他業種への従事歴・無職期間(求職活動・家事従事など)もすべて記入し、空白期間を作らないことが審査上の重要ポイントです。空白期間があると審査官から補正を求められる原因となります。


 また、専任の宅建士が役員(取締役等)を兼ねている場合は、役員用の「添付書類(3)」の提出が優先されるため、「添付書類(8)」の作成は不要です。二重に提出する必要はありません。

③ 宅地建物取引士証のコピー

 専任の宅建士が現に有効な宅建士証を保有していることを確認するため、宅地建物取引士証の両面コピーの添付が求められます。この書類は法令上の明文規定というよりも実務上の確認書類として位置づけられており、各都道府県の審査手引きでも記載例や注意点が示されています。


 確認される内容は主に次の3点です。第一に、宅建士証の有効期限が申請日時点で切れていないこと(有効期間は5年)。第二に、宅建士証に記載された氏名・登録番号が申請書類の記載と一致していること。第三に、宅建士証に記載された登録都道府県と設置証明書の登録都道府県が一致していることです。


 なお、宅建士証の有効期限が申請後まもなく到来する場合は、更新手続きを先行させることが推奨されます。有効期限切れの宅建士証しか持っていない場合は専任性の要件を満たせず、免許申請が受理されない原因となります。


④ 誓約書(添付書類(2))における専任の宅建士の署名

 誓約書(添付書類(2))は、欠格事由に該当しないことを宣誓する書面です。この誓約書には、申請者(個人または法人代表者)のほか、専任の宅建士本人の自署が必要とされています。行政書士が申請を代行する場合でも、専任の宅建士本人が直接署名することが求められるため、事前に本人から署名を取得しておく必要があります。


⑤ 書類間の整合性チェック

 専任の宅建士に関する書類は、申請書本体(免許申請書第一面〜第五面)や他の添付書類との整合性が審査で厳しく確認されます。具体的に突合が行われる主な箇所は次のとおりです。

確認事項 突合する書類の組み合わせ
氏名の漢字表記(旧字・異体字を含む)  宅建士証コピー ↔ 略歴書 ↔ 免許申請書第三面
登録番号・登録都道府県  宅建士証コピー ↔ 設置証明書 ↔ 免許申請書第三面
従業者数と専任宅建士設置数の比率  設置証明書 ↔ 従業者名簿
職歴の連続性・勤務先の一致  略歴書 ↔ 宅建士証(登録都道府県での実務確認)
専任性(他社役員・他社専任の重複なし)  略歴書の「現在」欄 ↔ 欠格事由の確認

 特に職歴欄における「現在の勤務先」が他社の常勤役員や他事務所の専任の宅建士になっている場合は、専任性の要件を満たさないと判断される可能性があります。略歴書の「現在」欄は申請する事業体への専従を示す記載にしておくことが重要です。

⑥ 変更届における専任の宅建士関係書類

 免許取得後に専任の宅建士を変更する場合(就任・退任・交代)は、変更の事実が生じた日から30日以内変更届の提出が義務付けられています。この変更届においても、新たに就任する専任宅建士について上記①〜③の書類(設置証明書・略歴書(8)・宅建士証コピー)の添付が求められます。ただし、令和6年5月25日以降は変更届においても専任の宅建士の身分証明書・登記されていないことの証明書は不要となっています。


まとめ

 専任の宅建士に関する申請書類は、①専任の宅地建物取引士設置証明書、②略歴書(添付書類(8))、③宅建士証のコピー、④誓約書(本人署名)の4点が中心です。 令和6年5月25日以降、専任の宅建士(役員兼任でない場合)の身分証明書と登記されていないことの証明書は不要となりましたが、役員兼任の場合は引き続き提出が必要です。 書類間の整合性確認を怠ると審査で補正を求められるため、申請前に宅建士証・略歴書・設置証明書・申請書本体の記載が一致していることを確認することが、スムーズな免許取得への第一歩となります。


 これらの書類は、改正後の提出不要書類の把握、役員兼任の有無による様式の使い分け、略歴書の空白期間への対応、書類間の整合性確認など、細かな判断を要する場面が多くあります。 書類の不備や記載の矛盾があると補正を求められ、免許交付までの期間が延びる原因となります。行政書士に依頼することで、こうした実務上のリスクを大幅に低減し、確実かつ迅速な申請手続きが実現できます。 独立開業を準備している段階から、許認可に精通した行政書士への早期相談を強くお勧めします。